ASIA(エイジア)は1981年にイギリスで結成されたロックバンドです。並みのロックバンドではなく、1960年代後半のイギリスで大きなムーブメントとなったプログレッシブロック界の大物メンバーが集まった「スーパーグループ」です。
エイジア/ASIAとは
プログレバンドのリニューアル
前衛的でともすると難解でもあったプログレッシブロック。そうしたクセの強い音楽はいずれ創り手も聴き手も疲れてしまうのか定かではありませんが、最盛期はそれほど長くはありませんでした。
プログレバンド自体がポップ路線に転換していったパターンとしては、イエスやジェネシス、また前回紹介したスーパートランプなどもあげることができるでしょう。
もう一つのパターンがこのASIAのように、新しいバンドとして再出発することでした。
ASIAのオリジナル・メンバーはいずれもプログレ界の有名バンド出身。どうです、この顔ぶれ!
- ジェフリー・ダウンズ(キーボード):元バグルス、イエス
- スティーブ・ハウ(ギター、ボーカル):元イエス
- カール・パーマー(ドラムス):元ELP
- ジョン・ウェットン(ボーカル、ベース):元キング・クリムゾン
プログレエッセンス入りポップロック
ASIAのサウンドはポップでありながら、プログレのエッセンスを感じさせるドラマチックな盛り上がりとスリリングな展開が持ち味。
デビューアルバム『詠時感〜時へのロマン』は1曲目『Heat Of The Moment』からパワー全開です。
そして2曲目の『時へのロマン』へ続きます。こちらはメロディアスでありながら壮大なスケールを感じさせる曲。
3曲目以降もどれもシングルカットされてもおかしくないクオリティを持った力作ぞろいでした。さすがスーパーグループの作品、と唸らせる仕上がりです。
失速は早かった
歓喜をもって受け止められたデビューアルバムは、全世界で1,500万枚というとてつもないヒット作となりました。
1983年リリースのセカンドアルバム『アルファ』もキープコンセプトでヒット。
シングルカットされた『Don’t Cry』は全米ロックチャートで1位を獲得。アルバムも全米6位にランクインしましたが、あまりの大ヒットだったファーストからの失速感は否めませんでした。
ゴタゴタの始まり
2枚目アルバムが期待したほど売れずツアーの観客動員も勢いを欠いてくると、お約束のようにバンドメンバー間に軋轢が生まれます。
まずはボーカルのウェットンが解雇され、後釜にはELPつながりでグレッグ・レイクが加盟。これでメンバー構成が元イエス2名、元ELP2名と仲良く半分こになった状態で、1983年には日本公演を皮切りとしたワールドツアーを敢行しました。
1984年には解雇されたウェットンが復帰しますが、かわりにハウが脱退。オーディションの結果ギタリストにはマンディ・メイヤーを迎え、1985年にサードアルバム『アストラ』を発表しますが商業的には成功とは言えませんでした。
その後のASIA
『アストラ』リリース後にバンドは活動を停止。事実上の解散状態になりました。
その後1990年代にはジェフリー・ダウンズに新メンバーのジョン・ペインを中心とした構成でスタジオアルバムを淡々とリリースします(1992年『アクア』、1994年『天空のアリア』、1996年『アリーナ』)。
2000年代に入ってもオリジナルメンバーの出入りもありつつバンドは存続。2024年現在も生き残っています。
管理人のつぶやき
バンド名になぜ「ASIA」を選んだのかが不思議でした。バンド結成時のマネージャーの提案だったとうのが通説のようですね。
アジア(特に日本)で成功を収めようという下心があったのか、はたまたアジアにエキゾチックな魅力でも感じたからなのか。デビューアルバムのジャケットに描かれたドラゴンもアジアを意識したものでしょうね。
そういえばイギリスに「JAPAN」という名前のバンドがありましたね。デビッド・シルヴィアンがリーダーだったニューウェイブのバンドでした。こちらは結成が1974年。ASIAよりも先輩ですね。
もしかしたらJAPANの成功にあやかった説、というのもありでしょうか?