アステカイザー – アントニオ猪木も登場したSFプロレス活劇

テレビ番組名は『プロレスの星 アステカイザー』。文字通りプロレスが舞台となる特撮アクションでした。一見すると変身ヒーローのようですが、特殊樹脂でできたファイティングスーツをまとった生身の人間なのです。

アステカイザーとは

アイデアの源流はメキシコか

原作はデビルマンやマジンガーZを世に産んだマンガ界の巨匠・永井豪とそのアシスタントからスタートした石川賢。特撮に強い円谷プロが、永井豪率いるアニメプロダクションのダイナミックプロとタッグを組んだ作品です。

さて、ヒーローの名前「アステカイザー」ですが、これはプロレス⇒ルチャリブレ⇒メキシコ⇒アステカ、という連想からついた名前に違いありません(想像ですが)。かのスーパー覆面レスラー、ミル・マスカラスもメキシコ出身ですしね。プロレスとメキシコ、切っても切り離せません。

アステカイザー
メキシコのルチャリブレからの着想か

プロレス界が舞台に

さてこのアステカイザー。ヒーローものといえば地球征服をたくらむ悪の組織から人類を守る、というのが基本構図。そこは踏まえているのですが、この物語ではプロレスをメイン舞台にしているところがユニークです。

やはり悪の組織は存在します。その名は「ブラック・ミスト」。黒い霧ですね。

彼らは最終的には世界征服を狙っているのですが、どういうわけかまずはプロレス界を支配したいのです。そのために凶悪なサイボーグレスラーを続々と送り込んできます。ちなみにサイボーグレスラーは、一度アステカイザーに破れては強化されて再登場する、というのはお約束のようでした。

アントニオ猪木も登場

テレビ番組の制作にはなんと新日本プロレスが全面協力しました。あの猪木さんの新日です。

登場した実在のプロレスラーがすごいのです。

アントニオ猪木を筆頭に藤原喜明、佐山聡、小林邦昭、ジョージ高野など。さらにレフェリーとしてミスター高橋や山本小鉄まで出演していました。

主人公の鷹羽 俊(たかば しゅん)が所属する「東都プロレス」のロゴマークも新日と同じライオンマークなんです。新日本プロレスのプロモーションという位置づけもあったのかもしれませんね。

アステカイザー
アステック製スーツをまとう

見た目はまったく変身ヒーローなんですが、これは鷹羽 俊が「鉄よりも硬く、ゴムよりも柔らかい」といわれる特殊樹脂アステック製のマスクとファイティングスーツをまとった姿なんです。

実写とアニメのハイブリッド

テレビ番組としてのアステカイザーのもうひとつの特徴は、実写とアニメのハイブリッドだったこと。格闘シーンは基本的にはアニメーション。実写では難しい高度で激しいアクションシーンをアニメを使うことでクリアーしていました。現代ならCGの出番ですね。

まさに円谷プロとダイナミックプロがタッグを組んだからこそうまれたユニークな演出なのですね。

愛車は「マッハビート号」

アステカイザーの相棒、三輪バギー「マッハビート号」です。

三輪バギーマッハビート号
三輪バギーマッハビート号

最高速度は実にマッハ・1。ミサイルやビーム砲まで搭載しているという戦闘マシンです。これが出てくる段階ではもはやプロレス活劇ではありませんが。

どでかいタイヤにこのドラポジ

イージーライダーも真っ青なドライビングポジション。腹にひびくビートが聴こえてきそうです。ズドドドド…

データ

  • 放映:1976年10月~1977年3月
  • テレビ局:NETテレビ系列
  • 回数:26回
  • 主演:島村美輝

管理人のつぶやき

以前紹介した『超神ビビューン』や『カゲスター』あたりとほぼ同じ時期の作品で、管理人はすでにヒーローものから卒業していたのでウッスラとした記憶しかないのが正直なところ。

記事を書いて感じたのはいずれも新機軸をすごい意識していること。当たったかどうかは別として、熱量は相当なものを感じます。70年代半ばというのは、仮面ライダーに代表される70年代前半のヒーロー像からの脱皮を目指して激しく試行錯誤していた時代、だったのかもしれませんね。

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