現代では喫煙は世の中から排除される流れになっていますが、昭和時代には子どもが憧れる「大人の嗜み」のひとつでありました。そんな時代背景もあり、タバコをモチーフにした様々な子ども向け商品が売られていました。ココアシガレットもそのひとつです。
オリオン ココアシガレットとは

発売は昭和26年
ココアシガレットが発売されたのはまだ戦後の傷跡も癒えない昭和26年(1951年)のこと。
発売元のオリオンがまだ株式会社になる前のこと(株式会社化は1957年)ですから、オリオンの礎となった商品といえますね。
ピーク時には年間1,800万個が出荷されたと言いますから駄菓子界の大ヒット商品といえましょう。
パッケージはピースをイメージ
濃紺のパッケージは昭和オヤジならどこかで見たような気がします。そう、『ピース』のパッケージですね。しかも10本入りの薄型のやつです。
ピースのパッケージは濃紺の地に鳩がオリーブの小枝をくわえたイラストが印象的ですが、このデザインはアメリカの著名なデザイナー、レイモンド・ローウィによる改良版で、オリジナルには鳩のイラストはありませんでした。デザイン改変後、ピースの売上は一気に3倍になったと言いますから驚きですね。
ココアシガレットのパッケージをピースふうにしたのは慧眼といえましょう。
ちなみにピースはまだフィルター付きタバコが登場する前の商品ですからいわゆる「両切りタバコ」。国産初のフィルター付きタバコは昭和32年発売の『ホープ』です。
オリジナルは二重構造っだった
現在のココアシガレットは均一の素材をスティック状に成型したものですが、オリジナル品ではココアパウダーをハッカでくるんだ二重構造でした。さらに、紙巻たばこさながらに巻紙がほどこされていたので、タバコっぽさは現在のものより上だったと思われます。
禁煙をアピール
タバコにあやかって売上を伸ばしたオリオン社ですが、時代の流れもちゃんと読んでいます。
パッケージには「あなたの禁煙を応援します」とのメッセージが。
子どもの頃のココアシガレット体験がもとで喫煙者になった人へのメッセージかもしれませんね。

食べてみた
ラムネのような口どけではなく、ポリポリとかじるタイプでかなり固いです。
ココアとハッカがまざった中途半端な味。どちらかに寄せたほうが好ましいかな。
手がべとつかず、食べやすいです。一本ずつ食べられるのでもちが良いのも〇。

データ
- 品名:ココアシガレット
- メーカー:オリオン
- 原材料:砂糖、ぶどう糖、デキストリン、ココアパウダー、加工でん粉、乳化剤、香料
- 内容量:6本
- 1本のサイズ:長さ52ミリ x 直径6.5ミリ
- 1本の重量:2.46グラム
管理人のつぶやき
タバコをモチーフにした駄菓子は他にもありましたね。
中味がチョコやガムの紙巻タバコ風の駄菓子が不二家から販売されていました。不二家なので駄菓子というよりお菓子でしょうか。
でもチョコは持っていると溶けてしまうし、ガムもベトついてくるのですぐに紙をはがして食べないといけなかったですね。
その点、ココアシガレットは扱いやすかったです。ロングセラーになった秘訣はそんなところにもあったかもしれないですね。