エリック・カルメン – 音楽で心を語ることに一生を捧げたアーティスト

1970年代から1980年代にかけてアメリカの音楽シーンで活躍したシンガーソングライター。甘いメロディと心に響く歌詞で多くのリスナーに愛されてきましたが、2024年3月に他界。ロックバンド「ラズベリーズ(Raspberries)」のメンバーとしてスタートし、後にソロアーティストとしても大成功を収めました。

エリック・カルメン/Eric Carmenとは

エリック・カルメンのソロデビューアルバム
デビューアルバム『Eric Carmen(邦題サンライズ)』

ポップロックの可能性を追い求めたラズベリーズ時代

1970年代初頭、カルメンはロックバンド「ラズベリーズ(Raspberries)」のフロントマンとして音楽のキャリアをスタートさせました。このバンドは、ビートルズやビーチ・ボーイズに影響を受けた甘いメロディと、エネルギッシュなロックンロールを融合させたサウンドで人気を博します。

代表曲「Go All The Way」は、そのキャッチーなコーラスとエッジの効いたギターリフで、アメリカン・ポップロックの新しい可能性を感じさせました。

ラズベリーズのヒット曲「Go All The Way」

しかし、バンド内の創作上の方向性の違いや個人的な不和によりラズベリーズは1975年に解散します。ところがカルメンの創作意欲は衰えるどころか、バンドという枠から解き放たれたことで自身の音楽性をより自由に広げていきました。

ソロデビューと「All By Myself」の誕生

ラズベリーズ解散直後、ソロデビューアルバム『Eric Carmen』をリリース。その中に収録されていた「All By Myself」は、まさに時代を超える名曲となりました。

ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を下敷きにしながら、カルメンはこれをポップバラードへと昇華させました。その結果生まれたのは、孤独というテーマを壮大に、そして親密に描いた不朽の名作でした。ビルボード・ホット100で2位を記録し、エリック・カルメンのソロアーティストとしての地位を確立した代表作です。

不朽の名曲「All By Myself」

この曲が放つ魔力は、1970年代のリスナーだけにとどまりません。1990年代にはセリーヌ・ディオンがカバーし、彼女の圧倒的な声によって再び蘇ります。この再評価によって、カルメンのソングライターとしての力量が改めて広く知られるようになります。

1980年代の復活と「Hungry Eyes」

エリック・カルメンのキャリアは1970年代に全盛期を迎えますが、1980年代後半には再び脚光を浴びる機会が訪れます。映画『ダーティ・ダンシング』のサウンドトラックに提供した「Hungry Eyes」です。

この曲は、1980年代の洗練されたポップサウンドを象徴する楽曲で、カルメンの甘い声とロマンチックなメロディが見事に融合している名曲です。

「Hungry Eyes」は、彼が単なる「70年代の人」ではなく、時代の波に応じて自らを変化させるアーティストであることを証明しました

孤独と普遍性を歌うアーティスト

エリック・カルメンを形容するなら、「孤独と普遍性を歌う詩人」とでも言えるでしょうか。彼の楽曲は、個人的な感情に根ざしながらも、聴く人それぞれが自分自身を重ねられる普遍性を持っています

そして、それを可能にしているのが、彼が愛してやまないクラシック音楽の影響といえます。甘美なメロディとドラマティックな展開、そして心の深奥に触れる歌詞。それらが彼の音楽を特別なものにしているのではないでしょうか。

管理人のつぶやき

「All by Myself」は物悲しくも美しいピアノソロだけでも胸が締め付けられるような感じになるんですが、歌詞にもグッときます。若いころは人の世話になんかなるもんか、ってイキがっていたけどそれは遠い昔のこと。今はもう一人ぼっちで生きるのはいやなんだ、という心の叫び。

つい自分自身に重ねあわせて思わず眼がしらが熱くなってしまいます。歳を取ったせいかなぁ?

タイトルとURLをコピーしました