フーセンガムとならび、「遊べる」駄菓子のひとつです。口にくわえてピーピー鳴らして遊びます。おまけもついていて商品の隅々まで遊び心が徹底しています。
フエラムネとは
ラムネ菓子の差別化戦略
いわゆる「ラムネ菓子」のひとつですが、遊びの要素を取り入れたところがミソです。ラムネ菓子で特長を出そうとすると、フルーツや清涼飲料などの香料を使った「味覚路線」か、パッケージのイラストや形状などの「デザイン路線」が主流と思われます。
そこに新戦略の「遊べる路線」で切り込んだのが『フエラムネ』といえましょう。
前身はフエガムだった
『フエラムネ』には前身となる商品がありました。それは昭和28年発売の『フエガム』。
『フエガム』は現在もコリス社から販売されている先輩です。当初はなんと手作業で製造していたそうですが、昭和35年に機械化に成功しました。
そして昭和48年に『フエラムネ』が誕生しました。
ちなみに『フエチョコ』も企画されましたが、体温ですぐに溶けてしまうため商品化には至りませんでした。
ヒントはタバコ型ラムネ
メーカーのコリスによると、フエラムネ開発のヒントはタバコ型ラムネだったそう。子どもは大人のマネをしたいもの。昭和の大人はタバコ吸うのが嗜みだったですからね。
で、大人みたいにカッコよく口笛を吹きたい子どもたちのためにフエラムネが考案されたのだとか。
うーむ。しかしこの誕生秘話には疑問も感じます。だってすでに『フエガム』が存在していたわけですからね。なので、上記ストーリーは後年の創作のような気がしますがどうでしょうか?
ちなみにタバコ型ラムネと言えばオリオンの『ココアシガレット』が現在も販売されていますね。
使用上の注意
「誤って飲み込まないよう、フエを吹くときには手に持つように」、との注意書きがあります。いやいや、いちいち手を添える子どもはいないと思うんですが。飲み込んでクレームになったことでもあったのでしょうか。
食べてみた
フエとして遊ぶことが前提になっているためでしょうか、ラムネ菓子にしては溶けにくいです。ラムネ菓子らしいシュワッとした口どけやスーッとした清涼感には乏しいです。
香味はプレーンなラムネ菓子です。フエを楽しんだらかみ砕いて食べましょう。
割ってみた
音の出る秘密を探るため、カッターで割ってみました。
なんと、別に構造らしきものは見当たりませんでした。
音の出る原理は口笛と同じで、狭い穴に強く呼気を流し込むことでフエラムネ内部の空洞に乱気流が発生し、それが空気を振動させて音が出る、というわけです。実は科学的な駄菓子だったのですね。
おまけにも注目
「おもちゃばこ」という名のおまけがついています。
実はこのおまけ、ある時期までは「男の子用」と「女の子用」の2種類だったのですが、現在では「カッコイイ系」と「カワイイ系」に置き換わっているそうです。いわゆる「ジェンダーフリー」の流れはこんなところにも押し寄せているんですね。時代を感じます。
買ってみたフエラムネのおまけはブルドーザーでした。連結して遊べるようになっているところがニクイですね。
底面はスタンプとしても遊べる工夫がなされています。芸が細かいですね。
さらにおまけの箱の「耳たぶ」にも遊びの仕掛けが!
「顔マーク」はおそらく運だめし。笑顔はさしずめ「大吉」でしょうか。泣き顔なんかもあるのかな?
反対側の耳にはじゃんけんの絵柄。これでどうやって遊ぶかは子どもの創造力次第ですね。
細かい工夫に泣けてきますが、気づいて遊ぶ子どもはどれくらいいるのか気になりました。
データ
品名 | フエラムネ |
メーカー | コリス株式会社 |
原材料 | ぶどう糖、砂糖/乳化剤、酸味料、糊料(プルラン、加工でん粉)、香料 |
サイズ | 直径21.4mm x 厚さ9.4mm |
重量 | 2.8グラム(1個) |
入り数 | 8個 |
管理人のつぶやき
限られたお小遣いで子どもたちにいかに喜んでもらえるかを真剣に考えているメーカーの良心を感じますね。
自分の子ども時代を思い起こすと、今日では見かけなくなった奇抜な商品が沢山ありました。なかにはかなり怪しげなものも。
いわゆる「子ども騙し」の商品は子どもたちも敏感に察知して手を出さなくなりますね。フエラムネはそうした淘汰を経て生き残った駄菓子のひとつと言えましょうか。