今日の気密性の高い住宅とは違って外界との境界がユルかった昭和時代の木造家屋には、ハエや蚊などの虫やネズミが容易に入り込んだり住みついたりしていました。今回は迷惑な害虫や害獣対策のためのアイテム4点をご紹介します。
ネズミ捕り
家に住み着いたネズミを捕獲するためのトラップです。
家ネズミといえば、アメリカのアニメ『トムとジェリー』に登場する憎らしくも愛らしいネズミを想像する方も多いんじゃないかと思いますが、実際には台所の食料品を食い荒らしたり家財を齧ったり、はたまた病原菌を媒介するフンをまき散らすなど放置しておくことが許されない害獣でした。
だいたいが天井裏を住処にしており、深夜家人が寝静まってから活動するんですね。天井裏を走り回ったりチューチュー鳴き声が聞こえてきたり、眠りを妨げられることもありました。
意外な被害は風呂場の石鹸を齧ること。あんなものも食べてしまうんですね。胃の中が泡だらけにならなかったのか気になりますが。
写真のネズミ捕りは、内部の針金に野菜くずなどのエサをひっかけておいてネズミをおびき寄せ、ネズミがエサに食らいつくとばね仕掛けの扉が閉まってあ~らもう出られません、となるものです。上に開いた穴からも侵入できますが、逆方向に戻ることはできない構造になっています。
良く出来た罠だと思いますが、問題は捕獲したネズミの処分です。
我が家ではばあちゃんが処分担当でした。家の裏手を流れている小川に沈めてお陀仏にしていたようですが、そのシーンはちょっと見る勇気がなかったですね。
蛇足ですが、家の面倒ごとはだいたいばあちゃんが担っていました。これも昭和らしいといえるでしょうか。
蝿帳(はいちょう)
「はいちょう」って呼んでましたが漢字をそのまま読むと「ハエチョウ」ですね。なんで「はいちょう」になったのか気になります。
これはちゃぶ台やテーブル上の食べ物にハエがたからないように覆うためのアイテム。
効果はどうだったのか記憶がおぼろなのですが、テーブル面との間に微妙に隙間ができてしまうので、そこからハエが侵入することもあったんじゃないかと思います。
ラップが使われるようになるとお役御免になりました。
ちなみに、同じコンセプトを人間の蚊よけに応用したのが「蚊帳(かや)」ですね。トイレのために出入りした時などに蚊の侵入を許してしまうとかえって厄介なことに…
ハエ取りリボン
ハエ取り用の粘着テープです。
実際には粘着テープなんていう甘っちょろい代物ではなく、ネットリした超強力トリモチがタップリ塗られたリボンでして、これを例えば居間の中央にあるランプの下につるしておく、という使い方をしていました。
飛んでいるハエや小さなガがくっつくと二度と離れることがありません。ランプの下につるすのは、虫が光りに向かって飛んでくるという性質を利用したものです。必ずしもランプの下でなくても、飛ぶ虫は何かに止まって休むので効果が期待できました。
これは誤って髪の毛にくっつけてしまうという事故が結構な頻度で発生していました。そうなると髪の毛をカットするしかありません。なかなかヤバいアイテムでした。
ハエ叩き
ハエ叩き使いの上級者だと飛んでいるハエを見事に空中で一撃できるのですが、なかなかそうはいきません。
どこかに止まっているハエに息を殺してそっと接近し、なるべく間合いを詰めてからビシッと叩く。成功すると叩き潰された残骸を処理しないといけませんので、叩く場所には気をつけなければなりません。水で拭いて綺麗になるところなら良いのですが、ソファーやカーテンなど布系の物体でやってしまうとシミが出来てしまいますので。
なお、空中で一撃の場合は潰れずに気絶して落下したハエを拾って捨てれば良いだけなので処理が楽です。