ごきぶりホイホイ – 二度と出れないホラーハウス

ゴキブリ捕獲器といったらこれ。単純な仕組みの製品ですが、実は科学とマーケティングの勝利なのです。

ごきぶりホイホイとは

いつでも入れるけど決して出れません

幸せそうなゴキちゃんファミリーの待つ素敵なおうちにキミも入ってみよう!おいでおいで!

ごりぶりホイホイのホーローかんばん
ホイホイとれるってことは中がゴキブリで充満するってこと…

でもね、一度入ったら二度と出られません…

あれ、なんだかイーグルスのホテルカリフォルニアの歌詞みたいですね?

ごきぶりホイホイ登場前

ごきぶりホイホイが登場する前にも、ごきぶり捕獲器は販売されていました。

円形の半透明プラスチック製で、中央部にごきぶりを誘引するエサを置き、入り口には後戻りできない細工がされたものでした。つまり「生け捕り式」なのです。

匂いで誘引して捕まえるという原理はごきぶりホイホイと同じですが、捕獲したゴキブリが内部でワサワサ動く様子が見えてしまうのと、捕獲後にまだ生きているゴキブリを始末(つまり殺処分)しなければならないところが不評でした。

ヒントはネズミ捕獲シート

そこで、「捕獲したゴキブリが見えないこと」「捕獲後の処理が簡単なこと」この2点が新製品の開発テーマとなったわけです。

このテーマを解決するヒントになったのはアメリカで販売されていたネズミ捕獲用の粘着シートでした。その名も『ワンダー・ラット・ボード』。ネズミを捕獲できるほどの粘着力ならゴキブリなど難なく捉えることができるはず。

捕獲後の処理問題は、使い捨てできる紙製の捕獲器とすれば回避できる。誘引剤をふくんだ粘着シートを捕獲器に仕込んでおき、捕まったゴキブリはそのまま放置すればいずれ死んでしまう。あとは捕獲器ごとゴミ箱にポイで解決です。

構想は出来たものの難渋したのは粘着剤でした。残念ながら当時の開発力では適度な粘着力を持ったシートが開発できず、チューブ入りの粘着剤をユーザーが自分で塗るという形態に落ち着きました。

塗ったらごきぶりハウスを組み立て、ごきぶりの好みそうな暗いところに設置します。あとはゴキちゃんが入ってくるのを待つばかり。

この粘着剤は非常に強力で、間違って入り込んだのか捕まったごきぶりを食べようとしたのかわかりませんが、小さなネズミが捕れてしまうことも。もともとはネズミ捕獲用シートから生まれた製品ですから驚くにはあたらないのかもしれませんが、実際にネズミがかかっていたら驚きますよね。

決め手は誘引剤

ごきぶりホイホイになぜゴキちゃんが入ってくれるかと言うと、それはごきぶりが好む香りを発する誘引剤が仕掛けられているから。

食べ物を餌にしてもよさそうですが、腐敗しますしハエなどが寄ってくることもあるでしょう。

ごきぶりが好む香りの開発。開発陣は世の中を良くしたい一心で取り組んだのでしょう。ロマンがあります。

秀逸なネーミングとデザイン

「ごきぶりホイホイ」という製品名は実にユニークです。

一度聞いたら忘れませんし、なにより親しみある響きです。ところが、実は社内公募によって「ゴキブラー」という名前で発売される予定だったのです。

これに待ったをかけたのはアース製薬の親会社となった大塚製薬社長の大塚正士。「ゴキブラーはおどろおどろしい、もっと親しいやすい名前にしよう」と、自ら「ごきぶりホイホイ」を考案したのだそうです。

さらに秀逸なのがごきぶりファミリーをあしらったかわいらしいお家のデザインです。

まあごきぶりがデザインを見て喜ぶなんてことはないわけですが、消費者に「殺生をするモノ」を意識させない効果があったと思うんですね。

ネーミングといい、ユーザー心理を読んだ素晴らしいマーケティングの勝利と言えましょう。

管理人のつぶやき

当然ながら我が家でも使っていました。

粘着剤が正しく塗れるように、捕獲器の塗る部分にジグザグ模様のガイド線がひいてありましたね。

塗るのがなんだか工作みたいで結構楽しく、親に「やらせて!」と言って塗らせてもらった記憶があります。

あと、「ごきぶり捕れてるかな?」なんて覗きに行ったりね。無邪気なもんですね。

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