1978年に発売された日立のラジカセ、パディスコシリーズの主力モデルです。初代TRK-8080の改良型で、マイクミキシング機能が追加されています。
目次
日立 TRK-8080MKⅡとは

ステレオラジカセ戦国時代に突入
TRK-8080初代モデルが発売された1977年はラジカセのステレオ化が一気に進んだ感のある年で、ソニーの名機 ジルバップ CF-6500をはじめとして、各社から力の入ったステレオラジカセが一斉に投入されたいわば戦国時代の幕開けでした。
日立のラジカセは「パディスコ」の愛称でシリーズ展開されていましたが、TRK-8080はその名も「ステレオ パディスコ8080」。その翌年にマイナーチェンジした8080MKⅡが発売されますが、各社も矢継ぎ早にモデルチェンジや新機種投入を敢行。戦国時代が本格化していきました。
スタイリッシュなデザイン
日立にしては意外にも、と言ったら失礼かもしれませんが、なかなかスタイリッシュなデザインです。ボディは精悍なブラックで、表面は縦横に細かいグルーブ(溝)が施されています。この加工はソニーが1976年に発売した高級フロア型スピーカー SS-G7のバッフルに採用された「AGボード」と似ています。音響効果はさておき、高級感の演出には一役買っています。

スピーカーグリルは開口率の高いパンチングメタル。ブラックのセンターキャップを持つグレーのコーンが透けて見えるところは本機の見せどころと言えましょう。
スピーカーフレームを模した加飾もブラックを基調に細いシルバーのラインで引き締めるだけの嫌味のないデザインで、主役であるスピーカーの引き立て役に徹しています。他社製品に見られるハデな太いシルバーのフレームにしなかったところにデザインセンスを感じます。
コンポライクなトップパネル
操作系は外部マイクのボリューム以外はトップパネルに集約。アルミパネルにシルバーのツマミやスイッチ類がコンポを彷彿とさせます。パネルの上半分をスラントさせ、操作性とチューニングスケールの視認性を高めています。
中央のカセットデッキ操作ボタンはブラックで、パネルの表情を引き締めています。
FMはワイドバンド仕様なのでAM補完放送を聴くことができます。


マニュアル録音可能なデッキ部
録音レベル設定はオートのほか、マニュアルも選択可能。左右独立式のレベルメーターを装備。高性能なクロームテープが使えるようテープセレクターも付いています。
フォノ入力を備えているため、レコードプレーヤーを接続すればレコードをカセットテープに録音することができます。AM放送録音時にバイアス信号と高周波の干渉してビート音が発生することを防ぐRIFスイッチ付き。ドルビーNRこそ搭載されていませんが、ラジカセの録音機能としては十分です。

倒立式としては完成されたデザイン
ジルバップが先鞭をつけた正立式レイアウトが主流になりつつあるなかで、本機はコンベンショナルな倒立式を採用。
MKⅡではカセットホルダー下のスペースに外部マイク入力端子とボリュームを追加してカラオケなどの用途を訴求しました。ただデザイン的には蛇足で、初代のほうがスッキリしていてデザインの完成度は高いと言えます。

充実したオーディオスペック
スピーカーは16cmウーハーと5cmツィーターの2ウェイ。キャビネットは堅牢な構造で箱鳴りを抑えています。アンプはゆとりある8wの大出力。小音量時に聴こえにくくなる低音と高音を補うラウドネススイッチを装備。また、ラジカセのサイズを超えた音場を再現するステレオ・ワイドモードが選択できます。
パンチングメタルのスピーカーグリルから、低音から高音まで音ヌケのよいパワフルなサウンドを届けます。

データ
- モデル名:TRK-8080MKⅡ/ステレオパディスコ 8080MKⅡ
- 発売:1978年(昭和53年)
- 定価:64,800円
- サイズ:W494 x H285 x D158mm
- 重量:6.8kg(電池含む)
カタログより



管理人のつぶやき
日立製作所の歴史は発電設備や電車などのいわゆる重電から出発しましたが、高度成長期には家電にも大いに力を入れ、「日立チェーンストール」という特約店ネットワークを全国展開していました。
製品は白物家電からテレビやステレオまで幅広くカバーしていましたが、良く言えば実質本位、悪く言えば地味なイメージが強かったように記憶しています。
ラジカセもソニーのスタジオシリーズやジルバップ、ナショナルのマックシリーズあたりと比べると今一つアピールに欠けたきらいがあります。もっとも、宣伝費のかけ方の違いが大きかったのもしれませんが。
とはいえ、あらためてTRK-8080/MKⅡを振り返ってみると、素直に魅力的なラジカセだと思います。いま手元に置くなら、有力な候補のひとつに上げたいですね。


