明治時代に登場した、屋外広告のハシリといえるホーロー看板。かつては街のいたるところで見かけました。今日でも地方都市などで稀に出くわすことがあります。昭和レトロを感じさせる代表的なアイテムのひとつと言えましょう。本記事ではちょっと謎めいたアイテムのホーロー看板を紹介します。
玉盛シンセン
ぱっと見、焼酎かなんかだと思いました。が、読んでみるとクスリの一種であることがわかります。
謎の推奨団体
「財団法人国民保健会推奨薬」と謳われています。かつてそんな組織が存在したのでしょうか。ネットで検索してもヒットしませんので、よほどマイナーな団体だったのか… 推奨団体からして謎です。
まるでブッダの教えのような薬効
「すべての病気の悩み、苦しみ、痛み、熱をとる」とあります。これはまるで「生老病死の苦しみからの解放」を謳うブッダの教えにも匹敵する効能。医薬品界のゴータマ・シッダールタと呼びたくなります。
放射能浸透剤とは?
意味するところがこれまた謎です。
「放射能を放って身体に浸透させる」という意味なのか、それとも「放射能を浸透させてある薬剤」なのか?どっちにしても危険極まりない物質のように思えますが。
結構売れた湿布剤だったらしい
調査してみると(ネット検索しただけですが)、「東京地方裁判所 昭和38年(ワ)4493号 判決」がヒットしました。
原告「心泉医薬株式会社」が被告「渡辺薬品工業株式会社」を相手取った裁判で、被告が「強力シンセン」という商標を付した製品の販売中止を命じる判決になっています。
判決文から「玉盛シンセン」が湿布薬でかなり売れていたこと、被告はそのイメージに便乗した商品名の湿布剤を販売して訴えられたことがわかりました。なるほど。
ちなみに玉盛とは原告の会社の創業家の姓でした。
しかし、「放射能入り」湿布剤なんてあり?と思ってしまいます。謎です。
電気ホージ茶
これまた想像がつかないお茶です。謎すぎるネーミングです。
電気の果たした役割は?
管理人の調査力の限界を超えています。情報が得られませんでした。想像するしかありません。
しかし少し考えてみると簡単なことのように思えてきました。
ほうじ茶は、お茶の葉を焙煎して香ばしくしたものです。つまり、お茶の葉を加熱する工程があるわけで、加熱に電気を使ったということではないかと思われます。
電気なのでガスや灰が発生しない=衛生によい、という意味なのでしょう。さらに、電気式加熱だと温度管理がしやすいので程よい焙煎ができる=美味しい、という理屈もなり立ちます。
というわけでこちらの謎は解決したことにしましょう。
どりこの鍋
どりことは?
イラストから両手鍋であることはわかります。
しかし「どりこ」とは?ブランド名でしょうか?
あるいは「どりこ」の鍋、ではなく「どりこの」鍋なのか?
杓子を入れたまま蓋が閉まるところがミソ
調査の結果わかったのは、この鍋には大きめの注ぎ口が切られているため、杓子を鍋に入れたまま蓋を閉めることができるのがウリだったということ。
注ぎ口が切られた鍋というのは注ぎやすい片手鍋に限られており、杓子で汁を汲み出す想定の両手鍋には注ぎ口がなかったため、杓子をつっこんだままでは蓋が完全に閉まらないという問題があったのでしょう。
そこに目を付けたのが「どりこの鍋」というわけで、宣伝文句には「台所の寵児」ともありました。いやはや、大したものです。
ちなみにこの鍋を考案したのは医学博士の高橋孝太郎という人だったようです。もしかしたら高橋先生のあだ名が「どりこ」だったりして。まさかね。