エンパイア4000D/Ⅲというカートリッジの互換針をJICOのオンラインショップで購入したところ、高音が酷く歪んで使い物になりませんでした。
JICOに送って調べてもらいましたが、メーカー基準を満たす正常品との判定で返品は受け付けられませんでした。
2万円強をドブに捨てる羽目になりましたので、注意喚起のため証拠のオーディオファイルを公開します。
使用環境
- プレーヤー:KENWOOD KP-1100
- プリアンプ:ONKYO P-309(オーバーホール済み)
エンパイアのオリジナル針

カートリッジに付属しているオリジナル針です。歪みなく綺麗な音で鳴っています。
JICO製互換針

購入直後

針圧1.0g。高音が割れます。

JICOのアドバイスにより針圧を1.3gにしました。やはり音割れがします。
10時間エージング後
JICOによれば10時間程度レコード再生することでサスペンションがしなやかになりほとんどのケースで改善するとのことでした。

針圧1.0g。改善しているようには聴こえません。

針圧1.3g。やはり改善は感じません。
JICOの対応
これらの証拠ファイルを送付しました。音割れの発生は認めましたが、針を社内で検査した結果では正常としか言えないとのこと。
エンパイア4000D/Ⅲの適正負荷抵抗は一般的な47kΩではなく100kΩなのでそれが影響している可能性がある、とのコメントもありましたが、当方プリアンプのカートリッジセレクターは初めから100kΩに設定していました。
消費者センターの対応
本件について消費者センターに相談しましたが、メーカーの検査基準を満たしている以上は返品の義務はない、とのことでした。
考察
JICOは品質管理に絶対の自信を持っているようです。動作不良の証拠を提示したとしても、それはユーザー環境か使い方に問題があるだけであり、品質には問題がないと主張します。
ユーザー環境にバラつきがあるのはあたり前のことで、あらゆるユーザー環境において品質保証することが出来ないことは理解できます。
しかし、当方の環境はごくごく一般的と言えるものです。エンパイア4000D/Ⅲ以外にも15本ほどカートリッジを所有していますが、この事例のような歪みが発生するものはありません。
JICOが本当にユーザーのことを考えているなら、事象が発生したカートリッジ本体やレコードを借りて検査するぐらいの手間を惜しんで欲しくありません。検証環境や品質基準に問題があるかもしれないのですから。
いくら自社の検査基準を通ったとしても、ユーザーにとって使い物にならない品物かもしれないことを自覚して欲しいと思います。
そもそも品質管理の目的とは、ユーザーにあるべき品質の製品を届けることではないでしょうか。品質基準さえ満たせばユーザーがどう感じようが関係ない、というのならば、それは目的と手段の取り違えです。
今回の教訓として、JICO製互換針には動作不良のリスクがあり、かつ、不良があっても返品は受け付けてもらえないと承知のうえで、購入するかどうかを判断すべき、ということをお伝えします。
