国鉄 急行型電車(457系) – そこそこ速い庶民の味方

特急ほど停車駅が少なくないけれど、各駅停車に比べたらそこそこ速い急行電車。旧国鉄の457系車両は、直流・交流両用の急行電車として全国各地で庶民の脚として活躍しました。

国鉄 急行型電車(457系)とは

国鉄の直流急行型電車として活躍した153系をベースに、地方で導入が進んでいた交流電化区間にも対応できるように開発されたのが451系電車です。これに続いて、改良型の453系、さらに勾配区間での性能を向上させた455系が登場しました。その流れを受け、1969年に誕生したのが457系電車です。

北陸本線の急行ゆのくに
北陸本線を走った「ゆのくに」

電車にもある交流・直流

家庭用の電化製品と同様に、電車にも「直流」と「交流」の二種類の電気方式があります。それぞれにメリット・デメリットがあるのですが、乱暴にまとめると、直流のほうが車両が安く作れる半面、地上の設備にコストがかかる、ということです。

国鉄はなるべく早く全国に鉄道網を整備するため、地上設備が軽くて済む交流方式で地方の電化を推進していったのです。

457系の誕生まで

いっぽうで首都圏や関西圏などの大都市圏では直流による電化が完成していました。大都市圏と交流化された地方を結ぶ長距離電車には、当然ながら交直両方に対応した車両が必要とされたわけです。

そこで、国鉄として初めての交直両用型急行車両として1962年に誕生したのが東北地方に導入された451系、そして北陸地方に配備された471系です(あわせて451系とします)。

なぜ2系統あるかといえば、糸魚川静岡構造線を境に、電源周波数は東日本が50Hz、西日本が60Hzであるため。これは、日本の電気事業が始まった明治時代、関東の電力会社がドイツ製の50Hz発電機を、関西の電力会社がアメリカ製の60Hz発電機をそれぞれ採用したことが原因という、ちょっとなんだかなぁ?といいう歴史的背景によるものです。

車窓
車窓からさまざまな景色が広がったことでしょう

1963年には451系のモーターをパワーアップした453系が登場し、さらに勾配抑速ブレーキを搭載した455系へと派生しました。これは、勾配の多い地域で運用されることを想定した改良で、下り坂でスピードが出過ぎないようにする機能でした。

最終形である457系では、それまで別々の車両で対応していた50Hzと60Hzの両用化が実現。直流とあわせて3電源対応へと進化しました。

ボックスシート
ちょっと気恥しいボックスシート

全国各地で活躍

451系から457系まで、急行型電車として全国各地それぞれに特徴のある愛称を与えられ、地域の人々に愛されました。ごく一部ですが紹介します。

  • 東北:「いわて」「まつしま」「青葉」「ときわ」「ひたち」「みやぎの」「あづま」「あぶくま」「ばんだい」「ざおう」
  • 北信越:「ゆのくに」「越前」「加賀」「くずりゅう」「佐渡」
  • 西日本:「つくし」「山陽」「ぎんなん」「はやとも」「玄海」「しらぬい」「べっぷ」「ゆのか」
運転席
アナログ好きにはたまらない光景

晩年と引退

国鉄がJRに分割民営化された後も、457系電車はしばらくの間、JR西日本やJR東日本などで運行されていました。しかし、老朽化が進み、新型車両への置き換えが進む中で徐々に引退が始まりました。

2000年代に入ると、交流・直流両用の新型電車(例えばJR西日本の521系など)の導入が進み、457系は次第に姿を消していきました。最後まで活躍していた車両も、2010年代には完全に引退し、現在では保存車両を除き、営業運転での姿を見ることはできません。

トレー
お弁当や冷凍みかんを置いて
栓抜き
栓抜きが常設アイテムでした

管理人のつぶやき

特急ときの記事に書いたように、小学生時代の夏休み、東京に住む従兄の家に遊びに行くときに必ず乗ったのが急行「佐渡」号でした。

車体の色は緑とオレンジのツートーンで、俗に「湘南カラー」と言うそうです。え、湘南?…佐渡号のオリジナルではないことを知って少しだけガッカリしました。

小出駅から上野駅まで4時間以上かかったはずですが、弟とゲームをしたり大好きだったドラえもんを読んだり、時には外を眺めたり。まったく退屈しませんでしたね。

停車するたびに聞こえてくる駅弁売りの掛け声も面白かった。独特の節回しの売り子さんがいて、マネしてみたり。窓が固定式で開けられない特急とき号と違って、窓を開けて弁当を買うことができました。お茶や冷凍みかんも一緒に買ったりしてね。急行ならではの、のどかな旅でした。

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