昭和51年にテレビ朝日系列で放映された特撮ヒーロー番組『ザ・カゲスター』の主人公です。奇抜なルックスとひねりのないネーミングが超ユニークです。
カゲスターとは
風村コンツェルンという大企業の社長令嬢・風村 鈴子(かざむらすずこ)とそのシモベ、いや秘書・姿 影夫(すがたかげお)が正義のヒーローに変身して悪の組織「サタン帝国」から世界を守る、という単純明快なストーリー。
正確には変身ではなく、主人公の影に魂が乗り移る、ということなので分身ヒーローですね。
ヒーローの名前は姿 影夫の分身が「カゲスター」、風村 鈴子の分身が「ベルスター」。極めてストレートで一切のひねりなしの清々しさです。
変身モノ、戦隊モノ、巨大ロボットシリーズとヒーローのバリエーションはすでに出尽くしたかと思われた1970年代中盤。
そこに新風を吹き込まんとするチャレンジから生まれたのが「影が主人公から分離・独立して活躍する」という設定だったのです。
電気ショックから生まれた
主人公は例によって悪の組織に捕らわれ、辛くも脱出の際にヒーロー誕生エピソードが発生。というお決まりのシナリオですが、カゲスターでのエピソードは「高圧電線に触れてしまった」でした。
感電死するどころか、電気ショックによって主人公の悪を憎む心が影に乗り移るという、アンビリーバボーな展開によって正義のヒーローが誕生したのです。
サイケな模様で敵をかく乱
電気ショックのせいでしょうか、頭部は電磁波を思わせる渦巻模様。そしてスパークリングなマント。ここまでブッ飛んだデザインのヒーローは他の追随を許さないのではないでしょうか?
頭部をじっと見ていると目が回ってきます。これは敵の目をかく乱させるため?
影がまた影を生む
コスチュームもさることながら、実写にアニメを合成させるという特殊効果もユニークでした。
カゲスターとベルスターは、意思を持つ影「カゲロベェ」という分身を操ることができましたが、カゲロベェはアニメによる合成。背後からヌワッと登場していました。
影がさらに影を生むという「これでもか感」もまた楽しい作品ですね。
データ
- 放映:1976年4月~1976年11月
- テレビ局:NETテレビ系列
- 回数:34回
- 主演:立花直樹
管理人のつぶやき
これはかなり異色なヒーロー番組でした。
まずはルックス。確かにそれまでには見たことのないユニークさです。ただ、例えば仮面ライダーやウルトラマンには「ああいう風になってみたい」と憧れるカッコ良さがありますが、カゲスターになりたいと願ったチビッコはあまり多くなかったことでしょう。
もうひとつは悪の設定。先ほどはさらっと「サタン帝国」と書きましたが、これは途中から出てきた設定で、それまでは毎回ちがった悪者とその組織が登場していました。しかも悪者は「仮面をかぶった人間」であって、いわゆる怪人とは趣を異にしたものでした。彼らの目的は世界征服などという大それたものではなく、個人的な恨みや欲望が動機という犯罪者。どころがこれがチビッコウケしなくて、結局はわかりやすーく世界征服を企む「サタン帝国」に登場願ったというわけです。
ヒーロー誕生の裏には様々な試行錯誤があった、というお話でした。