桃から生まれた桃太郎が鬼退治に向かうとて、おばあちゃんがこさえてくれたきびだんご。駄菓子屋さんで売っているきびだんごは果たして桃太郎と犬、猿、雉たちが口にしたものと同じなのでしょうか?
きびだんごとは
桃太郎とは切っても切り離せない
上流からどんぶらこ、どんぶらこと流れてきた桃から生まれ、おばあさんとおじいさんに大切に育てられてすくすく育った桃太郎。やがて日本一強い少年に成長しました。
まだあどけなさを残した少年・桃太郎はある日、旅人から「海の向こうの鬼ヶ島に住む鬼どもは、村々から掠め取った財宝をたんまり貯めこんでいる」という話を耳にし、忽然と正義の念に駆られ鬼退治に向かうことを決意。
老夫婦は心配しつつも桃太郎の決意に心打たれ、力づけに「きびだんご」を持たせてあげたのでした。
鬼ヶ島への道中、きびだんごの匂いにつられて寄ってきた犬、猿、雉が桃太郎の家来になり、鬼との対決で大いに活躍することになるのは皆さんご存知の通りです。
桃太郎伝説は岡山県発祥
昔話の桃太郎は全国区だと思われますが、発祥の地は岡山。
昔話「桃太郎」のルーツと言われる、吉備津彦命(きびつひこのみこと)と温羅(うら)の伝説とゆかりの地が数多く残る岡山。
そんな桃太郎伝説と結びついたきびだんごは、岡山を代表する菓子のひとつとして根強い人気を誇っています。岡山観光WEBより
岡山のきびだんご
当然のことながら、岡山にはきびだんごメーカーがたくさんあります。
一部をピックアップしますと…
各社ともきびだんご製品には色々なバリエーションを持っていますが、いずれも丸形のいわゆる「だんご」のイメージに近い形状。原材料には黍(きび)粉が含まれています。
別系統のきびだんごは北海道より
桃太郎-岡山-きびだんご。これで完結、めでたしめでたし、と行きたいところですが、そこに待ったをかけたのが北海道産のきびだんご。実は駄菓子屋で売っているのはこの系統なんです。
由来を調べてみると、実は桃太郎伝説とは無関係なことが判明しました。
北海道銘菓として道民に親しまれてきた「きびだんご」は、岡山県名物の餅粉やきび粉を使った羽二重餅の「吉備団子」とは全く異なる、北海道独自のお菓子です。
では、なぜ「きびだんご」という名前を付けたのか?
この名前は【事が起きる前に備え、団結して助け合う】から「起備団合」として発売されました。
北海道開拓にあたった屯田兵の携帯食に由来したことから、北海道開拓時の助け合いの精神と、「きびだんご」が誕生した大正12年に起こった関東大震災復興の願いが込められています。
え!びっくりでしょう?桃太郎ではなく屯田兵の携帯食だったんですね~。
だったらパッケージに桃太郎を使うのは反則じゃないですか~、とツッコミたくなります。
形状は板状で、携帯食としてはこちらのほうが向いているようです。
ただし原材料には黍粉は含まれません…
味はきな粉ベース。別の駄菓子で「きな粉棒」というものがありますが、食感・味ともそれに近い感じです。
あなたはどちら推し?
正直に言うとこの記事を書くために調べるまでこんな事情があるとは知りませんでした。
駄菓子屋で買えるのは北海道式きびだんごしかありません(少なくとも関東では)。北海道式はいかにも駄菓子っぽいところが憎めないんですが、桃太郎さんが食べたきびだんごに近いのは岡山式となるとぜひ入手して食べ比べてみたいところです。
しかし北海道式きびだんごに桃太郎のイラストを使うのはいかがなものかと思うのですが(笑)