正義のヒーローでありながら、悪のココロも同居するという不完全な設定。その不完全さは外観にも表現されていて、それまでのヒーロー像を破壊するインパクトを持った独自の世界観が魅力的でした。
人造人間キカイダーとは
石森章太郎が生みの親
巨匠・石森章太郎が生んだヒーロー、『人造人間キカイダー』。仮面ライダーとは一味違った、ちょっとマニアックなヒーローと言えましょう。

「不完全な良心回路」という設定により、従来の完全無敵なヒーロー像とは異なる、ある意味人間的なヒーロー像をつくっていました。
哀愁を帯びたメロディーをかきならすギターをかついだジロー、そしてなんといってもサイドマシーンが印象的でした。宿敵、ハカイダーとの死闘もストーリーを盛り上げましたね。
不完全さが表現された外観
正義と悪が同居する不完全さが見事に表現された外観。
この青いほうが「正義」を表しています。ところが反対側は…

不完全なさまがこんな表現に。回路もあらわな頭部がなんともシュールです。

この内部構造が見えるデザインは、人体模型のスケルトンがモチーフになったと言われています。
では、頭のてっぺんから足の先までじっくりと観察してみましょう。







こうしてみると、頭部の左右アンバランス感がとくに目立ちますね。
魅力的なサイドマシーン
キカイダーとくればサイドマシーン、というぐらトレードマークになっていました。ベースとなったバイクはカワサキの『マッハⅢ GT500』だそうです。


ヒラメとカレイの関係?
「なにがヒラメとカレイじゃ!」と思われたことでしょう。
まぁ、そう言わずに聞いてください。すでに「ピン!」ときた人は相当なるキカイダー・フリークに違いありません。
ヒラメとカレイの関係その1
キカイダーにチェンジする前のジローがサイドカーに乗っていたのはご存知のとおり。で、チェンジとともにサイドカーもサイドマシーンに変わるわけですが、サイドカー(ここではバイクの横に付いてる部分のみをさします)の付いている位置が左右反転するのです。
チェンジ前のサイドカーは正面から見てバイクの右側、チェンジ後は左側になるなんです。

え、そんなの常識じゃん、ですって? ほほぅ、ではこれはどうです?
ヒラメとカレイの関係その2
サイドマシーンのカウルの部分のマーク、キカイダーのベルトの模様に似せてありますよね。ところが良く見てください。赤と青の上下関係がベルトと逆なんです。ほらっ!

「なんだよ、くだらね~」と捨て台詞をはいてキカイダーは去っていくのでした…

データ
- 放映:1972年7月~1973年5月
- テレビ局:NETテレビ系列
- 回数:43回
- 主演:伴大介
管理人のつぶやき
仮面ライダーは「改造人間」でしたがキカイダーは「人造人間」。
この違いを当時はほとんど意識していなかったような気がします。どちらも人間が変身したヒーローだと思っていたような。
でもジローはそもそも本物の人間ではなく、人造人間なんですよね。アンドロイドですね。
悪の組織ダークが送り出す怪人もアンドロイド。つまりアンドロイド対アンドロイドという構図なわけです。
一方で仮面ライダーの敵はショッカーがつくった改造人間。改造人間対改造人間の戦い。
戦争も人間同士の争いから始まって今やAI兵器の時代に。そのうち兵士もロボットになるのかなぁ。
人間であれロボットであれ、争いのない平和な世界が一番ですがねー。