三菱 コルトギャランGTO – アメリカンマッスルカーの意匠を纏ったスポーツクーペ

日産・ブルーバードやトヨタ・コロナと同じセグメントで成功を収めたコルトギャランをベースに、アメリカで流行していたいわゆる「マッスルカー」のデザイン要素を取り入れたスポーティーなクーペです。高性能なDOHCエンジンを搭載したホットバージョンもありました。

コルトギャランGTOとは

アメリカの流行をいち早く採用

当時のアメリカ車はマッスルカー全盛期で、流れるようなボディラインの大柄で大排気量のスポーツクーペが人気を博していました。

代表的な車種としてはポンティアック・GTO、ダッジ・チャージャーRT、フォード・トリノGTなどで、まさに「マッスル」をイメージさせるダイナミックなボディにトルクフルな大排気量エンジン積んだいかにも当時の豊かなアメリカらしい大味なクルマでした。

そんなアメリカンマッスルカーのデザイントレンドを拝借し、ミディアムクラスのファミリーカーとしてヒット作となったコルトギャランに取り込んで生まれたのがコルトギャランGTOです。

ギャランGTO 横から
三菱のいう「ダイナウェッジライン」が見て取れます

躍動感のあるダイナミックなボディラインは「ダイナウェッジライン」と称されました。

カーデザイン用語でフロントが低くリアに向かって高くなる「くさび型」のことを「ウェッジシェイプ」と言いますが、GTOではそこに筋肉の盛り上がりを想起させるダイナミックな曲線を融合させたことから、そのような造語が生まれたのでしょう。

最大の見どころはダックテール

なだらかなルーフラインとつながったトランクリッドの後端をクイッと跳ね上げた「ダックテール」が国産車で初めて採用されました。

三菱はこれを「ヒップアップ・クーペ、ギャランGTO」というキャッチコピーに取り入れ、斬新さをアピールしました。

ギャランGTO リア
トランクリッドが跳ね上がった「ダックテール」

GTOの名乗りは伊達じゃない

GTOは「Gran Turismo Omologato」の略号で、イタリア語で「GTレース用ホモロゲーションモデル」。

GTOを名乗るからにはカッコだけではなく当然ながら走りにも力を入れており、特に「MR」というモデルは三菱として初めてDOHCヘッドを奢った1,600ccエンジンを積んでいました。

ソレックス・ツインチョークキャブを2連装し最高出力はクラス最強の125馬力、公称最高速度は200km/hを誇りました。

ミッションは三菱初の5速MT、足回りも強化されており、デビュー当時のコピーは「フォーミュラカーの伝説が生んだマニア向きのホットマシン」。

残念なことに排ガス規制で1972年8月をもって製造打ち切りになり、高価だったこともあってわずか800台余りしか世に出なかったという稀少モデルです。

MRのDOHCエンジン
DOHC サターンエンジン

ちなみにグレード名のMRは「Mitsubishi Racing」のことで、ギャランGTO-MR以降は三菱車の最上級スポーツモデルにつけられていきます。ランサーやランエボにもMRがありますね。

データ

  • 販売期間:1970年(昭和45年)~1978年(昭和48年)
  • エンジン:水冷直列4気筒 1.6L, 1.7L, 2.0L
  • ホイールベース:2,420mm
  • 全長:4,125mm
  • 全幅:1,580mm
  • 全高:1,310mm
  • 重量:980Kg

管理人のつぶやき

あくまで個人的な感想ですが、「三菱」というブランドには重厚・実直なイメージが付きまといます。やはり旧財閥であることと戦車を作っていた歴史によるところが大きいのでしょう。

そんなイメージを覆したのがコルトギャランGTO。

日本におけるスペシャルティカーの嚆矢とされるトヨタ・セリカと同年、1970年のデビューになります。通称「ダルマ」のセリカはクーペボディでトランクは後端にかけてどちらかといえば「尻下がり」でした。GTOのようなダックテールを纏ったセリカ・リフトバックが登場するのは3年後になります。

ことデザインに関しては、コルトギャランGTOが時代の先端を突っ走っていたんですね。

フォトギャラリー

ギャランGTO MR
コルトギャランGTO MR
ギャランGTO リア
テールランプもアメ車を彷彿とさせるdesign
ギャランGTO フロント
逆スラントしたノーズがアグレッシブ
ルーフからテールにかけた流れるようなライン
コルトギャランGTO GS-R
後期型はグリルのデザインが変わりました
テールランプも新デザインに
後付けに見えますがオーバーフェンダーは純正です
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