BCLラジオのなかには、性能や機能はそこそこながらデザインに魅力を感じるものがあります。クーガ113は極端に横長のプロポーションが印象的な、まさにそんなBCLラジオのひとつと言えましょう。
RF-1130(クーガ113)とは
クーガ3兄弟の末弟
クーガ113が発売された1975年のBCLラジオ総合カタログには、別格のRF-8000をバックにクーガシリーズのラジオが4台載っています。なので、「クーガ3兄弟じゃなくて4兄弟なんじゃないの?」と思われるかもしれませんね。
この4台のクーガのうち、実は「クーガNo.7」だけは発売が1973年であり、しかも発売当時はBCLラジオという位置づけではありませんでした。キャッチコピーは「狙え、クーガ」で、新機能であるジャイロアンテナを駆使して中波放送をキャッチしようと提案していたラジオなのです。
3バンド設計で短波も受信できることからのちにBCLラジオ扱いされるようになりましたが、個人的にはBCLラジオだとは思っていません。
ですので、1975年時点でのBCLラジオとしてのクーガは「クーガ113、クーガ115、クーガ118」の3兄弟、ということにしました。
極端な横長のプロポーション
3兄弟の縦横比を較べてみましょう。
- クーガ118 縦211mm 横302mm ⇒ 1:1.43 ※リンク先はクーガ118Dです
- クーガ115 縦237mm 横246mm ⇒ 1:1.04
- クーガ113 縦144mm 横340mm ⇒ 1:2.36
クーガ113の横長具合は突出していますね。
他社のBCLラジオはどうだったでしょうか?
- ソニー スカイセンサー5800 縦219mm 横201mm ⇒ 1:0.92
- ソニー スカイセンサー5900 縦234mm 横223mm ⇒ 1:0.95
- 東芝 トライX2000 縦285mm 横270mm ⇒ 1:0.95
- 東芝 トライX1700 縦160mm 横214mm ⇒ 1:1.34
- 三洋 パルサー 縦212mm 横259mm ⇒ 1:1.22
- 三菱 ジーガム505 縦180mm 横275mm ⇒ 1:1.53
- 日立 サージラム2200 縦157mm 横369mm ⇒ 1:2.35
- 日立 サージラム2100 縦242mm 横240mm ⇒ 1:0.99
こうしてみると、唯一、日立のサージラム2200が肉薄していますが、クーガ113は見事横長チャンピオンということになります。
なお、ソニーにはスカイセンサー6000という縦横比1:3.20というさらに横長のラジオがありましたが、こちらは短波は受信できるものの帯域が3.9MHz~12MHzと狭く、BCLというよりはアウトドア向けラジオという性格なのでBCLラジオにはカウントしません。
機能と性能はそこそこ
短波は2バンドで、周波数帯域は3.9MHz~30MHzをカバー。「トロビカルバンド」と呼ばれる3.9MHzより下の帯域はカバーしていません。ここはクーガ115より劣ります。
いっぽう、同調をサポートする機能としてファインチューニングが付いています。これは周波数直読機能登場以前のラジオには必須と言えるもの。
受信回路はシングルスーパーヘテロダイン方式。これはこの年代のクーガ3兄弟に共通しています。受信性能に優れた「ダブルスーパーヘテロダイン方式」の搭載は、クーガ2200の登場を待つことになります。
クーガ伝統のジャイロアンテナ
クーガNo.7に初めて搭載されたジャイロアンテナ。例外もありますが、基本的にはクーガシリーズの伝統といえるフィーチャーです。ラジオ本体の向きを変えることなく、最適な方向にアンテナを向かせることができる便利な機能です。もっとも基本的には中波放送向けの機能ですので、短波放送受信には(トロピカルバンドを除いては)効果がありません。
ちなみに、ジャイロアンテナ内部に格納されているアンテナ本体にあたるフェライトバーのサイズは、クーガ113では直径10mm x 180mmですが、クーガ115と118では12mm x 200mmと差別化が図られていました。
データ
- 発売:1975年(昭和50年)
- 定価:23,900円
- サイズ:W340 x H144 x D78(mm)
- 重量:2.1kg(電池含む)
カタログより
管理人のつぶやき
デザインがなかなか魅力的なラジオですね。
横長プロポーションには安定感を感じます。ジャイロアンテナとのマッチングも良好です。
ブラックメタリックのフロントパネルにアイボリーのフィルム式ダイヤルスケールが映えます。
惜しむらくは、フロントパネルがややゴチャゴチャしている印象です。ダイヤル類を無理やり詰め込んだような忙しなさを感じます。
イヤホン端子とタイマーをボディ横に配置したら、もっと整然としたレイアウトができたのにと思います。そこはちょっと惜しい気がします。