ナショナル クーガ118D – 微妙なポジションのBCLラジオ

ナショナルのアナログ式BCLラジオ、クーガシリーズで最も価格の高い製品です。周波数直読メカを搭載したクーガ2200と同時期に発売されましたが、こちらは周波数直読機能がないにもかかわらずクーガ2200より高価格という、微妙な位置づけになっていました。

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クーガ118Dとは

ナショナル クーガ118D
ナショナル クーガ118D

クーガシリーズの変遷

「吠えろ、クーガ」のキャッチフレーズとともに登場した初代クーガの『RF-888』は、短波放送が受信できる3バンド設計ではあったものの、セールスポイントは16cmという大口径のダブルレンジスピーカーと2.6Wというラジオとしては大きな出力によるパワフルなサウンドであって、それはキャッチフレーズからも明らかです。BCLラジオと呼ぶには物足りないし、メーカーもそのような打ち出し方はしていませんでした。

RF-888 吠えろ、クーガ
スピーカーが目立つデザインのRF-888

次いで1973年に発売された『クーガNO.7(RF-877)』は、キャッチフレーズが「狙え、クーガ」。この狙え、とは、本機に搭載されのちにクーガシリーズのアイコンともなった「ジャイロアンテナ」を駆使して放送局を狙え、という意味でした。ただし、ジャイロアンテナは短波ではなく中波、つまりMW(正確には短波のごく低い周波数帯も含む)に有効なアンテナで、いわゆる海外短波放送用の機能ではありませんでした。

クーガNo.7
ミリタリールックがカッコイイ クーガNo.7

なので、クーガNo.7もまだBCLラジオという位置づけではなかったのですが、ソニーのスカイセンサー5800が火をつけたBCLブームに乗っかるため、BCLラジオのラインナップに組み込まれたというのが実情でしょう。

クーガシリーズが明確にBCLラジオとして生まれ変わったのは1975年。この年、クーガ113/115/118という3兄弟が誕生しましたが、クーガNo.7も「ついでに」BCLラジオ扱いになっています。

BCLラジオ総合カタログ
BCLラジオ総合カタログ(1975年版)

最上位モデルのクーガ118

1975年版のBCLラジオ総合カタログより比較表を作ってみました。

クーガNo.7クーガ113クーガ115クーガ118
短波受信帯域3.9~12MHz3.9~30MHz1.6~30MHz1.6~30MHz
短波バンド数1234
ファインチューニング××
BFO×××
外部アンテナ端子×
定価18,500円23,900円26,900円42,000円

ここからわかることは、クーガNo.7はそもそもBCLラジオではなかったこと、そしてクーガ118は最上位モデルであるにもかかわらず機能面で115に見劣りしたことです。クーガ115と118の価格差が非常に大きいことにも改めて驚きます。おそらくクーガ118は見えないところにお金を使ったモデルだったのでしょう。

実際に、フィルム式のダイヤルスケールは走行長がとても長かったことに加えて、ダイヤルにフライホイールを採用していたため、とてもスムーズで心地よい同調フィーリングを味わうことができました。他にもFMのフロントエンドはAMとは独立させ、IF5段構成、6素子セラミックフィルターと4つの同調回路を装備するなど、コンポのFMチューナー顔負けの凝った造りになっていました(モノラルなのに)。

機能を見直した118D

さすがに最上位モデルが下位モデルより見劣りするのはマズかったのでしょう。機能を見直して1976年に再登場したのが118Dです。

クーガ118クーガ118D
ファインチューニング×
BFO×
選択度切り替え×
定価42,000円43,800円
クーガ118D のダイヤル
ブラッシュアップされ118Dとして再登場

このように115より見劣りする点はなくなるとともに、新たに「選択度切り替え」という魅力的機能が付加されました。また、ダイヤルフィルムがグレーからアンバーに変更されるなど、デザインもブラッシュアップされました。

クーガ2200の登場でポジションがあいまいに

上述のとおり、機能見直しによってクーガ3兄弟の序列がキレイになったはずだったのですが、それを見事にぶち壊したのが当のナショナル。

大人気を博していたソニーのスカイセンサー5900を追い落とすべく「直ダイ・メカ」を引っ提げて登場した『クーガ2200』は、クーガ118Dよりも9,000円も安い34,800円というプライスタグをぶら下げていました。BCLラジオとしての魅力度は2200の圧勝です。どう見ても118Dの存在意義は無きも同然となってしまったのです。

クーガ2200
クーガシリーズ最高のBCLラジオ 2200

今日的な価値は高い

そんなわけで、BCLラジオとしてみると今一つ魅力に欠けるクーガ118Dではありますが、短波放送受信がもはや趣味にはなり難い今日においては、改めてラジオとして評価すると輝きを放つモデルと言えます。

まず、見えないところにお金をかけている、高級品である、という心理的なアドバンテージ。そしてフライホイールを奢ったダイヤルの心地よい操作感。さらに、FMが108MHzまで受信できるワイドバンド設計であることから、AMの補完放送が受信できることもメリットです。

スピーカーは12cmと大口径ではありませんが、低音の柔らかさと音の広がりを向上させたフリーエッジタイプ。ズッシリしてしっかりした筐体とあいまって音質は良好です。高性能なFM受信部を持っていますから、FM放送で音楽を楽しむには好適なラジオと言えましょう。

クーガ118D スピーカー
12cm フリーエッジスピーカー

クーガシリーズお得意のジャイロアンテナも所有感を満たしてくれます。

ジャイロアンテナ
伝統のジャイロアンテナ

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データ

  • モデル名:RF-1188
  • 発売:1976年(昭和51年)
  • 定価:43,800円
  • サイズ:W303 x H211 x D99 mm
  • 重量:3.3kg(電池含む)

カタログより

クーガ118D
風格ある佇まい

管理人のつぶやき

BCLブームの当時、このモデルに魅力を感じた人はどれくらいいたのでしょうか?そもそもが非常に高価だったこと、さらにクーガ2200の登場で立ち位置を失ってしまったことから、「いったい誰が買うんだろうね?」という見方をされていた不幸なラジオであったかと思います。

オリジナルモデルのクーガ118はなぜ115より見劣りする機能だったのか。

クーガ115は明かにスカイセンサー5800をにらんで開発されたと思われますが、もしかしたらクーガ118の企画はそれより前だったのかもしれませんね。もし115と同時期かそれより後だったら、初めから118D相当の機能を持っていたはずだと思うのですが。

というわけで不幸な境遇となってしまった118Dですが、今手に入れるならむしろクーガ2200よりこちらに魅力を感じます。なにしろ見えないところに贅沢にお金をかけた一品なのですから。

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