ナショナル クーガNo.7 – ミリタリールックに憧れて

BCLがまだブームになる直前に発売されたラジオです。クーガシリーズの象徴ともいえるジャイロアンテナを初搭載していました。何といっても魅力はミリタリールック。いま見ても惚れ惚れします。

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クーガNo.7とは

ラジオがパーソナルな情報端末だった時代

スマホもインターネットも存在しなかった1970年代。情報ソースとしてのラジオの地位は今日とは比べ物にならないほど大きかったです。

テレビがまだまだ一家に一台、お茶の間の王様だった当時、パーソナルな情報端末はラジオを置いて他にはありませんでした。

そんな時代に若者がラジオで聞いていたのはいわゆる「深夜放送」。ニッポン放送の『オールナイトニッポン』を筆頭に、TBS『パックインミュージック』、文化放送『セイ!ヤング』などが人気を誇っていました。

深夜放送以外にも、プロ野球中継や音楽番組、バラエティなど番組は多種多様。朝から晩まで、というより翌朝まで一日中楽しむことができるメディアということでは、今日のインターネットのようなものだったかもしれません。大きな違いはSNSのように個人が情報発信できるものではなく、もっぱら聴くだけだったことですね。

少年のハートを射抜いたミリタリールック

そんな時代の真っただ中、1973年に登場したナショナルのクーガNo.7(RF-877)がこのラジオです。

なんと言ってもミリタリー調のデザインが抜群にカッコよかったですね。

正面からみるとほぼ正方形のポロポーション。

対角線上にならんだスピーカーグリルと円盤状のダイヤルスケール。

ナショナル クーガNo.7 正面
完璧なミリタリールック 素晴らしいデザイン

ラジオのダイヤルスケールは3パターンに分かれていました。最も一般的だったのが横長または縦長の帯状スケール。それからこのクーガのような円盤型。もうひとつはBCLラジオでよくみられるフィルム巻取り式のやつですね。

クーガNo.7のミリタリールックには円盤型がジャストフィット。レーダーを思わせる矢印とか目盛りとか、実にうまいデザインです。

ロッドアンテナは、ラジオ本体に格納されるかラジオ上部のホルダーに留めておく形が一般的でしたが、クーガNo.7では本体横にアンテナが見える形のホルダーを設けていました。これがまたミリタリールックを一層ひきたてたんですね。素晴らしいです。

クーガの伝統、ジャイロアンテナ

写真ではちょっとわかりにくいですが、本体上部によこたわる黒いパーツがあります。これがジャイロアンテナ。内部には中波放送受信用のフェライトバーアンテナが格納されています。

クーガのネームプレート右側にあるプッシュボタンを押すとアンテナがポップアップ。アンテナ中央を軸に最大180度回転させることで、最も受信状態のよいポジションを得ることができるという画期的なアイデアでした。回転させるときに「カチカチカチ…」と音がするという演出もニクイですね。

ナショナル クーガNo.7 斜め前から
ツマミやスイッチ類もミリタリールックにフィット

FMはワイドバンド仕様

FMの受信帯域は、一般的には78MHz~90MHzなのですが、クーガNo.7は108MHzまで受信できるワイドバンド設計。当時のテレビのCH1からCH3、つまりNHKの本放送と教育テレビの音声を聴くことができたのです。

今日ではAM放送の補完としてワイドFMが放送されていますから、この機能が活きますね。

あと、マニアックな話になりますが、クーガNo.7のFM受信機構は3連バリコンにRF(高周波)増幅回路が付いていました。のちにBCLラジオの決定版と呼ばれたクーガ2200では2連バリコンでしたから、贅沢な設計だったことがわかりますね。

ナショナル クーガNo.7 左斜め前から
アンテナホルダーもいい感じです

タイマーも装備

深夜放送を聴いているとよく「寝落ち」してしまいましたが、そんな時に自動的に電源をオフにしてくれる便利なタイマーを内蔵していました。タイマーで「オン」させる使い方もできましたが、「オン」の用途はいまだによくわかりません。

音質も良かった

スピーカーは10cmと比較的小さなサイズですが、「ダブルレンジ」と呼ばれる構造になっていました。これは、高音を受け持つセンター部をもった、いわばセミ・ダブルコーンのようなもので、のちに登場するBCLラジオのクーガ115にも採用されていた、高音質スピーカーユニットなのです。

実際、クリアーで歯切れの良いサウンドはFM放送を楽しむにも好適でした。

BCLラジオとしては物足りなかった

クーガNo.7とほぼ同時期に登場したソニーのスカイセンサー5800というラジオがあります。これは海外短波放送を受信して楽しむ「BCL(Broadcast Listening)」向けに機能と性能を磨いた歴史的ベストセラーで、BCLブームが大ブレークするきっかけとなったラジオ。

BCL向け機能としてスカイセンサー5800が装備していたのは

  • 短波3バンドで3.9MHz~28MHzまでをカバー
  • 精密な同調を可能にするメカニカル・ファインチューニング
  • 微弱な電波を捉えるための外部アンテナ端子
  • アマチュア無線を傍受するためのBFO

といったもので、いずれもクーガNo.7には備わっていませんでした。

ナショナルはスカイセンサー5800に対抗して、クーガ115というBCLラジオを投入します。これがまた良いラジオなのです。ソニーとナショナル、切磋琢磨して素晴らしい製品群を送り出しましたネ。もちろん他社も黙っていませんでしたので、当時のラジオは全部集めたいくらいに魅力があります。

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データ

  • モデル名:RF-877
  • 発売:1973年(昭和48年)
  • 定価:18,500円
  • サイズ:W235 x H213 x D78 mm
  • 重量:1.85kg(電池含む)

カタログより

クーガNo7カタログ表紙
クーガNo.7カタログ
カタログ中面
ジャイロアンテナで電波を狙え

管理人のつぶやき

このラジオ、自分で初めて購入した本格的なラジオなのです。小学校5年か6年の時。その頃はまだBCLなんて知らなかったので、プロ野球中継やバラエティ番組(深夜放送にはまだ目覚めていなかった)を聴いて喜んでいました。

ところが、従兄がかのスカイセンサー5800を買ったというので、調べてみるとBCLとやらが面白いらしい。で、自分のクーガNo.7でも短波が受信できるぞ、ってことで始めてみましたが、調べれば調べるほど機能不足だということがわかり、残念な思いを味わったものです。

そこで、中学校に進学してから、リベンジとばかりにクーガ2200を購入したのですが…。

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