現代では当たり前ながらリモコン操作を可能にした当時としては画期的なラジカセです。ワイヤレスマイクにリモコン機能を持たせ、離れた位置からテープの録音・再生を操作することができます。
RQ-556(リモコンMAC)とは
1970年代はラジカセがどんどん多機能化していった楽しい時代です。音創りが楽しめるミキシング機能、語学学習に便利な後追い録音ができるLL機能、テレビの音声が聴けるTVチューナー内蔵、海外短波放送が楽しめるBCLラジカセなどなど。またステレオ化や大口径スピーカー搭載など高音質化の流れもありました。そんななか、本機は「リモコン操作」で存在感を主張しました。
ワイヤレスマイクがリモコンに
FMトランスミッターを内蔵したワイヤレスマイクを標準装備したラジカセが数機種存在していました。通常、マイクはラジカセ本体に格納されていますが、それを独立したマイクの形としたうえで本体に格納できるようにしたものです。ラジカセ本体と音源が離れていても録音できるのがメリットですが、それなら別売のワイヤレスマイクを購入しても同じことです。
本機ではワイヤレスマイクにテープの録音と再生のオン・オフ機能を持たせたところが特徴です。
ワイヤレスリモコンというと赤外線が一般的ですが、本機の場合はワイヤレスマイクを利用していますので、FM波を使っています。
動作状態は緑と赤のLEDによって離れた位置からも確認できました。
リモコン操作できるのは再生と録音のオン・オフのみで早送りや巻き戻しはできませんが、テープは本体のボタンで操作するものという常識を破ったところは斬新でした。
高音質化したスピーカーを採用
スピーカーのコーン紙には、放物線状のカーブを施したパラカーブコーンを採用。一般的なコーンより振動板の面積を広くとることができます。さらに、コルゲーションとよばれる同心円状の襞をコーン上に成型することで強度をアップ。
直径55mmの大型フェライトマグネットと相まって低音から高音までバランスの良いサウンドを実現していました。
ワイヤレス以外の機能はシンプルに割り切り
ワイヤレス以外の機能はこれと言って見るべきものはなく、むしろ比較的シンプルなものです。
トーンコントロールは低音と高音をシーソー式に調節するタイプ。低音と高音を同時に増強することがっできません。ラウドネスススイッチもありません。
テープセレクターが付いていませんので、ノーマルテープしか使えません。
ラジオはAMとFMの2バンドのみ。海外短波放送を受信することができません。
テープの操作ボタンはナショナルのラジカセに特有の、録音ボタンを再生ボタンに組み込んだ録音操作のしやすい形態になっています。
データ
- モデル名:RQ-556
- 発売:1976年(昭和51年)
- 定価:39,800円
- サイズ:W380 x H240 x D119(mm)
- 重量:4.6kg(電池含まず)
カタログより
管理人のつぶやき
現代ではなんでもリモコン操作できるのが当たり前になってしまってありがたみを感じることもありませんが、当時は逆になんでも本体を直接操作するのが常識。テレビでもエアコンでもそうでした。
また、リモコンがあったとしても有線式だとワイヤーの届く範囲でしか使えないものでした。
そんな時代にワイヤレス操作を謳ったラジカセというのはインパクトがあったと思われます。でも、目新しさだけでさして実用性があったとも思えないので、それほど売れなかったんじゃないでしょうか?
デザイン的にはなかなかカッコイイので、ワイヤレス以外の機能がもっと充実していたらな、とちょっと惜しいラジカセです。