ナショナル RS-4300 – スピーカーまわりのデザインがユニークなステレオラジカセ

ラジカセは性能や機能以外にもデザインという重要な差別化要素があります。RS-4300はラジカセの印象を決定づけるスピーカーまわりに大胆なデザインを取り入れたモデル。ユニークさが光ります。

ナショナル RS-4300(Stereo MAC)とは

ナショナル ステレオマック RS-4300

珍しい四角いフレーム

ラジカセの見た目の印象を決定づける最大の要素は、何といってもスピーカーまわりではないでしょうか。人間でいえば目、自動車ならばヘッドライトにあたるでしょう。

単品コンポのスピーカーとは違い、ラジカセではスピーカーそのものが本体に露出していることはほとんどなく、本体と一体化したスピーカーグリルでカバーされています。

四角いスピーカーグリルのフレーム

スピーカーグリルのデザインはいくつか典型的なパターンがあります。ボディのプラスチックをそのまま加工したもの、メタルメッシュやパンチングメタルをはめ込んだものなどが代表的です。

RS-4300ではグリルそのものは黒いパンチングメタルですが、メタル製の四角いフレームを持っているところがユニークです。ツイーターにも幅広の丸形フレームが奢られていますが、底部を切り取ることで四角いフレームとの一体感を持たせています。これは他のラジカセには見られないデザインです。

機能的にはあまり特徴がなく、あくまでデザインで差別化を図ろうとしたことが伺えます。

高性能へのコダワリ

当時のステレオマックの上位機種だけに、高性能へのコダワリが随所にみられます。

ドーム型ツイーター採用の2ウェイスピーカー

スピーカーの説明
2ウェイスピーカー(カタログより)

12cmウーハーは25 x 20mmの強力マグネットを採用しマグネットとボイスコイルのエアギャップを小さくすることで音圧97dBの高効率を実現。ツィーターには一般的なコーン型よりも広角な指向特性を持つ3cmドーム型を採用し、臨場感あふれるサウンドを生み出します。

高性能ヘッドを搭載

ヘッドの説明
LHヘッド(カタログより)

高品位なカセットの録音・再生のため、鍵を握るヘッドには硬質パーマロイを用いたLHヘッドが採用されています。

先進の高性能半導体を採用

チューナー部に採用されたFET
チューナー部に採用されたFET(カタログより)
アンプ部のシリコントランジスタ
アンプ部のシリコントランジスタ(カタログより)

チューナー部やアンプ部に採用された高性能トランジスタ。FETとは電界効果型トランジスタと呼ばれるもの。シリコントランジスタは従来のゲルマニウムトランジスタより高性能とされる新型です。

こうやってアピールされるととっても高性能な気がしてきます。

電子制御モーター

電子制御モーター(カタログより)

安定した録音と再生にはモーターの性能がカギを握ります。電子制御モーターとはいわゆるサーボモーターのことでしょうか?

バス・トレブル独立型トーンコントロール

音質追求型ラジオやラジカセでは必須の機能。従来の単一型トーンコントロールでは高音を強めると低音が減り、低音を強めると高音が減るというシーソー式の調整しかできませんでした。周波数特性グラフがあると説得力が増しますね。

必要にして十分な機能

機能的には特に目立った特徴はなく、当時としては必要にして十分なものでした。

ラジオはAM/FMの2バンド。FM受信を安定させるAFCスイッチが付いています。ダイヤルライトも装備。メーターはマルチファンクションのシングルです。

RS4300トップパネル
わずかに傾斜をつけたラジオのスケール

高性能なクロームテープも使えるテープセレクターを装備。録音レベルはオートのみでマニュアル調整はついていません。ダイヤルには回しやすいようにノブが付いています。

RS4300トップパネル
回しやすいノブつきダイヤル

データ

  • モデル名:RS-4300
  • 発売:1976年(昭和51年)
  • 定価:59,800円
  • サイズ:W408 x H224 x D108.5 (mm)
  • 重量:5.4kg(電池含まず)

カタログより

中面はA3見開き、A2見開きを使った凝ったもの。迫力があります。オシャレな女性をフィーチャー。

RS4300カタログ
RS-4300単品カタログ
RS4300カタログ中面
A3見開き
RS4300カタログ中面
A2見開きの大迫力

管理人のつぶやき

このデザインは結構好きです。ナショナルのラジカセには個性的なデザインの光るモデルがいくつかありますね。RS-4250も他にはないユニークなデザインが魅力的です。

ところで、四角いスピーカーで思い浮かぶのがソニーのAPM。あちらはグリルが四角いのではなく、スピーカーそのものが四角い平板になっていました。理想的なスピーカーの振動板を追い求めた結果があの形だったとか。ひと頃のソニーは単品のハイエンドスピーカーからラジカセまでAPM推しを徹底していました。

音は良かったらしいですが、自分的にはデザインがどうも好きになれなかったです。スピーカーは丸いもの、という先入観が抜けなかったですね。

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