かつてトヨタのコロナと国産ファミリーカーの覇権を争った日産ブルーバード。2代目の410型はイタリアのカロッツェリア、ピニンファリーナによるモダンなデザインが賛否両論を巻き起こしました。ブルーバードのスポーティグレードを表す「SSS」が初登場したのも2代目です。
日産 ブルーバード(2代目/410型)とは
1959年に発売された初代のダットサン・ブルーバード(310型)は、累計生産台数は約21万台という大成功を収めた小型乗用車でした。その後を受けて1963年に登場したのが2代目の410型です。

名門ピニンファリーナがデザイン
初代ブルーバードは日本人の社内デザイナーによるものでした。オーソドックスで実用的なデザインでしたが、ややずんぐりしたプロポーションはカッコよさとは無縁のもの。
初代コロナの販売合戦ではブルーバードに軍配が上がったものの、先にデビューしていたブルーバードはいささか時代遅れ感が強くなっていました。とくにエクステリアデザインはもはや古臭さを感じさせるものでした。

2代目は欧州への輸出を計画していたことも背景と思われますが、初代とは打って変わってモダンなデザインに生まれ変わりました。

欧州車を彷彿とさせるデザインは、それもそのはず、フェラーリやランチアなどの流麗なデザインを手掛けることで知られる、イタリアの名門カロッツェリア、ピニンファリーナの手によるものでした。
後ろから見ると「鍵穴テール」と呼ばれる特徴的なコンビネーションランプや、低い位置まで回り込む複雑な造形のトランクリッド、なだらかに傾斜するサイドからリアにかけてのラインなど見どころはたくさんあります。

尻下がりは日本人ウケしなかった
デビュー当初から業界内や自動車雑誌などから高い評価を受け期待を集めていた2代目ブルーバードでしたが、当時の日本市場にとっては先鋭的にすぎるところがあったようです。
販売の初速はよかったものの、とくに特徴的な「尻下がり」なデザインが一般には不評だったようで、発売翌年にライバルのトヨペット・コロナ3代目(T40型「バリカンコロナ」)が傾斜したノーズでシャープな「アローライン」を打ち出すと、またたく間に抜き返されてしまったのでした。

そんなわけで、せっかくのピニンファリーナのデザインも2年目のマイナーチェンジで一般的な水平基調のボディラインに改められてしまいます。
スポーツイメージを確立したSSS
折からのレース人気などもあり、スポーティなクルマが人気が高まっていました。
そこでブルーバードにも1.2リットルエンジンにSUツインキャブで武装した「SS(スポーツセダン)」を追加。これが好評だったため、さらに1965年にはフェアレディからR型1.6リットルSUツインキャブエンジンを換装しポルシェシンクロのミッションも積んだ「SSS(スーパースポーツセダン)」を投入。これが後の世代まで続くブルーバードのイメージリーダー、SSS誕生の瞬間でした。

しかしこれらの策もむなしく、2代目ブルーバード発売から3年後、1966年に行われたビッグマイナーチェンジでこの不評だったリア回りのデザインが大きく変更され、水平基調なキャラクターラインに改められました。特徴的な鍵穴型テールランプも一般的な長楕円形になり、クセのない印象に変わっています。

データ
- 販売期間:1963年(昭和38年)~1967年(昭和42年)
- エンジン:水冷直列4気筒 1L,1.2L,1.3L,1.6L
- ホイールベース:2,380mm
- 全長:3,995mm
- 全幅:1,490mm
- 全高:1,415mm
- 重量:915kg
管理人のつぶやき
ブルーバードでまず思い起こされるのは、就職してクルマが買える(中古ですけど)ようになって候補のひとつだった7代目のU11型です。FF(前輪駆動)になった初めてのブルーバードで、DOHCターボエンジンを搭載したSSSもありました。イメージカラーは黄色だったような?
価格がだいぶこなれていた6代目の910型も捨てがたいものがありました。エクステリアはU11よりも910のほうがシャープでカッコよかったのですが、いかんせんダッシュボードまわりが古色蒼然たるデザインだったので選択肢からは外しました。
で、初めて購入したのはブルーバードの姉妹車のひとつだった「オースター」。不人気車だったのでブルと比べると安かったのです。でもグレードはSSSと同じくDOHCターボを積んだ「1.8Xtt」でした。いわゆる「ドッカンターボ」で、タコメーターが3,000を超えると始まる強烈な加速が快感でした。
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