初代が「クリスプカット」と呼ばれるシャープな造形に引き締まったプロポーションだったシルビアは、2代目で思い切り路線変更。アメリカンなテイストのスペシャルティーカーに豹変しました。
目次
日産 シルビア(2代目/S10型)とは

「NEW」を冠してイメージ刷新
昭和50年(1975年)発表の2代目シルビアは、初代が2シーターで低く構えた直線的な印象だったところからぐっと雰囲気を変え、丸みをおびたふくよかな造形でデビューしました。
車名が「ニューシルビア」となり、エンブレムにも「NEW」とつけられていることからも、初代とは大きくイメージチェンジしようとしたことが伺えます。

特徴的なリアクォーター
デザイン面での特徴はリアクォーターパネル。当時の日産車によくみられた、大きく傾斜したリアガラスとJ字型に太く下広がりになったリアピラー、リアサイドウインドウが小さく逆三角形になったピラーレスハードトップなどの要素がちりばめられています。

ローレルやケンメリ・スカイラインなどと共通感があります。さらに極端な例だとチェリーがありました。
当時の最新のデザインモードが取り入れられたわけですが、かなりアクの強い印象なので好き嫌いがハッキリ別れたことでしょう。
北米ではセクレタリーカーとしてヒット
美しいボディラインを誇った初代とは印象がちがい、抑揚の強いグラマラスなボディラインや大型丸目2灯ライトなどを奢ったデザインは、北米向けを意識したものと言われています。

小型で安価な2ドアクーペということで、北米ではいわゆるOLさんあたりが乗る「セクレタリーカー」として人気がありました。ちなみに北米での車名は「ダットサン200SX」。カッコいい響きです。
ちなみにセクレタリーカーというのは、秘書などの職業につく知的で都会的なOLさんが乗っていそうなクルマ、という意味で使われた一種のジャンル名です。現代では問題視されかねない名前ですが、大らかだった時代ならではの呼び方としておきましょう。
ベースはサニー
ボディは初代のラダーフレーム構造から大きく進化した、近代的なモノコック構造を採用。3代目サニー(B210型)のプラットフォームが流用され、しっかり強度も確保しつつ軽量なボディが実現されました。
ただ、サニーよりひと回り大きいボディにも関わらず、サニーそのままのトレッドやホイールベースのままだったため、やや腰高な感じでアンバランスな印象があります。

とん挫したロータリーエンジン搭載計画
実は2代目シルビアには、ロータリーエンジンを搭載する計画がありました。
ロータリーエンジンといえば思い浮かぶのは、世界で初めてロータリーエンジンの量産化に成功したマツダですね。ロータリーエンジンを搭載したサバンナが、サーキットで常勝だったスカイラインGT-Rを打ち破るという偉業によって、ロータリーエンジンの高性能ぶりが世の中に知れ渡りました。
日産でもロータリーエンジンの研究開発は進められており、実際に昭和47年(1972年)の東京モーターショーでは2ローターエンジンを積んだサニーが出品されました。2代目シルビアもそのエンジンを搭載する候補になっていたのです。
しかし残念なことに、翌48年(1973年)に起きたオイルショックのあおりを受け、「ガス喰い虫」のイメージが強いロータリーエンジンの搭載は見送られてしまったのです。
もしニューシルビアにロータリーエンジンが搭載されていたら、その後の日本のスポーツカーシーンは違ったものになっていたかもしれません。
データ
- 販売期間:1975年(昭和50年)~1979年(昭和54年)
- エンジン:1,770cc 直列4気筒
- ホイールベース:2,340mm
- 全長:4,135mm
- 全幅:1,600mm
- 全高:1,300mm
- 重量:990~1,000Kg
管理人のつぶやき
2代目シルビアのイメージキャラクターはオランダ出身の女優、シルビア・クリステルでした。そう、あの有名なフランス映画『エマニュエル夫人』で主役を演じた彼女です。もしかしたら、グラマラスなボディーラインともあいまって、2代目シルビアにはどこか官能的なイメージが付いてしまったんじゃないかと想像しますが、実際はどうだったんでしょう。
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