ピーター・フランプトン – 激しい浮き沈みを乗り越えてきたロック界の貴公子

ピーター・フランプトンは70年代のロックシーンを象徴するアーティストのひとりです。ギターが歌い、人間がそれに応えるような独特のプレースタイル「トーキング・ギター」を確立しました。

ピーター・フランプトン/Peter Framptonとは

ピーター・フランプトン
1977年リリースのアルバム『I’m in You』

キャリアの幕開け

1950年、イギリス・ロンドン郊外のベッケナムで生まれたフランプトンは、10代の頃から音楽の才能を発揮。14歳でザ・プレムスというバンドに参加し、その後、スモール・フェイセスのスティーヴ・マリオットとともに「ハンブル・パイ(Humble Pie)」を結成します。

彼らはブルースとハードロックを融合させたサウンドで人気を博しましたが、フランプトンはよりメロディックなロックを追求するため、1971年にバンドを離れ、ソロ活動に入ることになります。

ソロ・アーティストとしての躍進

フランプトンのソロキャリアは、決して順風満帆ではありませんでした。

初期のアルバム『Wind of Change』(1972年)、『Frampton’s Camel』(1973年)、『Something’s Happening』(1974年)は確かな音楽性を持ちながらも、大きな商業的成功には至らりません。しかし、1975年のアルバム『Frampton』では、少しずつ彼のメロディアスなギタープレイと歌声が評価され始めます。

彼の真価が発揮されたのは、やはり1976年のライブ・アルバム『Frampton Comes Alive!』でしょう。このアルバムはフランプトンの人気を決定的なものにし、1976年に全米アルバム・チャートで10週連続1位を記録。アメリカだけで800万枚以上を売り上げ、歴史的なベストセラーとなりました。

「Do You Feel Like We Do」

代表的なヒット曲

このアルバムから生まれた代表曲のひとつが「Show Me the Way」です。

トーキング・モジュレーター(トーキング・ボックス)を駆使した特徴的なギター・サウンドが印象的なこの曲は、全米シングル・チャートで最高6位を記録しました。

「Show Me The Way」

また、「Baby, I Love Your Way」は、アコースティック・ギターを中心とした美しいバラードで、こちらも全米12位にランクイン。そして、アップテンポな「Do You Feel Like We Do」は、20分にも及ぶライブ・バージョンがリスナーを圧倒し、全米10位に食い込みました。

「Baby, I Love Your Way」

栄光と苦難

『Frampton Comes Alive!』の成功により、一躍スーパースターとなったフランプトンですが、その後のキャリアは決して順調とは言えませんでした。

続くスタジオ・アルバム『I’m in You』(1977年)は、タイトル曲「I’m in You」が全米2位となるヒットを記録したものの、前作ほどのインパクトを残すことはできませんでした。

アルバムのタイトルトラック「I’m In You」

また、1978年には映画『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に主演するも、映画は商業的に失敗。さらに1979年には交通事故に遭い、一時的に音楽活動が停滞するなど、不運が重なりました。

80年代には低迷期を迎えますが、デヴィッド・ボウイの『Never Let Me Down』(1987年)のツアー・ギタリストとして参加するなど、粘り強く活動を続けました。

90年代以降は、再び自身の音楽に回帰し、2006年にはインストゥルメンタル・アルバム『Fingerprints』をリリース。この作品でグラミー賞(最優秀ポップ・インストゥルメンタル・アルバム賞)を受賞し、キャリアが再評価されることになります。

現在も続く音楽活動

2019年、フランプトンは「封入体筋炎」という難病を患っていることを公表し、ツアー活動からの引退を発表しました。

しかし、彼はなおも音楽への情熱を失っておらず、2023年には新作アルバム『Frampton Forgets the Words』を発表。自身のキャリアを振り返るとともに、今もなおギターとともに生きる姿を見せています。

レディオヘッドの「Reckoner」をカバー

管理人のつぶやき

どうも『I’m in You』のジャケット写真の印象が強すぎて、自分のなかでは「胸毛のアイドル」的なイメージが出来上がってしまっていたんですが、こうして改めて振り返るとこれはフランプトン本人の臨んだ姿ではなかったことがわかります。

しかし、脱毛バヤリの現代では胸毛って全然ウケないと思うんですが、当時はセクシーさの象徴みたいなものだったんでしょうね。まぁ何事も振り子のように振れるものだと思えば、いつかまた胸毛が復権する時代が来るのかもしれません。

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