日産と合併する前のプリンス自動車が開発した高級車。ボディをぐるりと一周するモールが印象的なことから「ハチマキグロリア」とも呼ばれました。高級車の証である多気筒エンジンを搭載した上級グレードの「スーパー6」も。
プリンス・日産 グロリア(2代目/S40型)とは
皇室との繋がり
プリンス自動車はその社名にも表れるとおり皇室との縁が深く、1960年代前半より宮内庁の公用車に多く採用されていたほか、天皇陛下をお乗せする御料車として7台のニッサン・プリンスロイヤル(日産との合併後のためこの車名)を納めるなど、栄誉ある地位を占めていました。
グロリアも初代が皇室に納入されたのに続き、この2代目も最上級グレードであるグランド・グロリアをベースとした特別仕様車が自動車好きの皇太子明仁親王の愛車としてドライブのお供をしていたそうです。
ハチマキグロリア
デザイン面での特徴は、ショルダーラインをぐるりと一回りする化粧モールです。
モールをこのようにボディに取りまわすデザインは初代シボレー・コルヴェアにも見ることができますが、グロリアの場合にはボンネット前部も含めて完全に一周させたところが徹底しています。ここから「ハチマキグロリア」のあだ名が付けられることになりました。
モールによる装飾はショルダーラインだけでなく、ボンネット中央やボディー中央部、テールランプ周囲、果てはルーフに至るまで徹底して施されています。これは当時のプリンス会長・石橋正二郎のコダワリだったというエピソードがあります。
グロリアという車名自体なんとなく「ギラギラ」した響きを感じるので外観と釣り合っているともいえましょうか。
もっとも、外観の見どころはモールだけではありません。ボンネットやトランクに与えられた柔らかい曲面や大きくラップラウンドしたフロントとリアのウインドウの造形にも、大衆車とは明らかに一線を画した高級車らしい風格が感じられます。
6気筒エンジン搭載で先行
1962年の発売当初、エンジンは先代からのキャリーオーバーである1,900cc直列4気筒のみでしたが、翌1963年には直列6気筒SOHCエンジンを搭載した「グロリア・スーパー6」が追加されました。
このエンジンは、国産量産車に初めて搭載されたSOHCであると同時に他社に先駆けて小型車に搭載した6気筒エンジンでした。いずれも静粛性や振動の少なさに貢献するメカニズムで、プリンスらしい先進性と高級指向を体現したものでした。
同じエンジンを搭載したエステートワゴンの「エステート6」もラインアップされています。
データ
- 販売期間:1962年(昭和37年)~1967年(昭和42年)
- エンジン:直4 1,862cc 、直6 1,988cc、直6 2,494cc
- ホイールベース:2,680mm
- 全長:4,650mm
- 全幅:1,695mm
- 全高:1,480mm
- 重量:1,295kg
管理人のつぶやき
見るからにアメ車っぽいデザインです。伸びやかなプロポーションに煌びやかな装飾。豊かなアメリカのカーライフを彷彿とさせます。
グロリアは続く3代目の「縦目グロリア」も相当インパクトの強いデザインでした。
ただ、元来は皇室御用達車にふさわしい高貴なデザインであるはずなのですが、のちのテレビドラマの影響でしょうか、どうも歴代のセドリックとグロリアには「ワルい奴らが乗るクルマ」的なイメージを持ってしまっていました。
映画やドラマで使われるのはプロモーション効果抜群ではありますが、変なイメージがついてしまうリスクもありますね。