レコードアクセサリー(前編) – プレーヤー設置からカートリッジ取付まで

アナログレコードの楽しみは、その音質もさることながら音が出るまでのプロセスにもあります。そのプロセスを彩る、レコードまわりの様々なアクセサリーを紹介します。前編ではレコードプレーヤー設置からカートリッジ取付までに使われるアクセサリーを取り上げます。

水準器

水準器
実は家が傾いていることが発覚したりして

レコードプレーヤーを正しく設置することはアナログレコード再生への第一歩。基本中の基本です。

重量のあるしっかりしたラックや台に載せましょう。

載せたら水平になるようプレーヤーの脚を調整します。この時に使用するのが水準器。

プレーヤー本体に水準器を置いて、気泡が丸印の中に納まるように脚を調整します。脚だけで調整しきれないと思ったら、実は部屋が傾いていたなんていうオチも。

オーバーハングゲージ

テクニクスSL1200用オーバーハングゲージ
DJの世界では超有名なテクニクスSL-1200用のゲージ

オーバーハングとは、簡単に言うとカートリッジをトーンアームに取り付ける際の前後の位置決めに使われる数字のことです。

少々分かりにくいと思いますが、レコードプレーヤーのトーンアームは、レコード再生時にアームの支点を中心とした円弧を描くように動きます。いっぽうで、レコードの盤面に音溝を刻むカッターヘッドは盤面上を平行移動します。つまり、レコード製造時と再生時で、盤面に対する動き方に差があるわけです。

この差のことを「トラッキングエラー」と呼び、音が歪む原因になります。当然、差は少ないほうが歪みを抑えることができますので、その値が最小になるようプレーヤーごとに定められるのが「オーバーハング」といわけです。

前置きが長くなりましたが、写真のオーバーハングゲージはテクニクスのSL-1200専用品で、汎用的なものではありません。汎用型のゲージは、ターンテーブルのセンタースピンドルにはめる穴のついた幅広の定規のような外観をしています。

専用ゲージはこんなふうに使います。針先がゲージの先端の位置にくるよう、カートリッジのヘッドシェルへの取り付け位置を調整します。

オーバーハングゲージ
オーバーハング値はプレーヤーごとに違います

トーンアーム用水平ゲージ

アーム水平ゲージ
目盛りの数字は盤面からの距離ですが水平をとるだけなので無視していいです

カートリッジのヘッドシェルへの取り付けが済んだら、次はトーンアームの高さ調整です。

先ほどトラッキングエラーの話をしましたが、正確には水平方向のトラッキングエラーのことでした。アームの高さ調整は、垂直方向のトラッキングエラーを最小にするために行うものです。

理屈は水平方向と同様で、なるべくカッターヘッドの動きに近くなるように針先が盤面に接する角度を調整する必要があるのです。

なお、プレーヤーによってはアームの高さ調整のできない製品もありますので注意が必要です。

針圧計

針圧計
デジタル針圧計 昔はアナログ式がありました

アームの高さが決まったら、最後に針圧をカートリッジの指定値に設定します。

もっとも、厳密にやろうとしない限りこのステップにアクセサリーは必要ありません。なぜなら、トーンアームの後端についているカウンターウェイト(オモリ)には、針圧調整のためのメモリが付いているのが普通だからです。

アクセサリーを使うメリットはより厳密に針圧調整ができること。このメリットは、カートリッジが軽針圧タイプ(1グラム前後)の場合には特に活きてきます。軽針圧タイプほど針圧の調整はシビアに行う必要があるためです。

管理人のつぶやき

今回はレコードを演奏するまでに登場するアクセサリーを見てきました。音出しするまでにも色々とあるものですねー。こうした道具を揃える、というのもいかにも趣味っぽくて楽しいです。

いわゆる「タイパ」や「コスパ」とは全く相いれません。趣味とはそもそも効率という概念が当てはまらないものですから、「コレでいいのだ!」

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