リッキー・リー・ジョーンズ – 自由奔放な魅力あふれる個性派シンガー

リッキー・リー・ジョーンズは1979年にデビューしたアメリカのシンガー・ソングライター。「Chuck E.’s in Love」がヒットしてグラミーの最優秀新人賞を受賞しました。決してひとつの型にはまらない自由奔放さが魅力のアーティストです。

リッキー・リー・ジョーンズ/Ricke Lee Jonesとは

デビューアルバム『Ricke Lee Jones』
デビューアルバム『Ricke Lee Jones』

デビュー作で一気に注目される

1979年、リッキー・リー・ジョーンズはセルフタイトルのアルバム『Rickie Lee Jones(邦題「浪漫」)』でデビューしました。この年はディスコブームが一段落し、ニューウェーブが勢いを増し始めた頃でしたが、彼女の音楽はそのどちらにも属していませんでした。

ロックでもあり、ジャズでもあり、フォークでもある。どれか一つのジャンルで説明しようとすると少し違う。そんな独特の音楽性が、多くのリスナーを引きつけました。

デビューアルバムからシングルカットされた「Chuck E.’s in Love」は全米4位まで上昇するヒットとなり、翌年のグラミー賞では最優秀新人賞を受賞します。

軽快なリズムに乗せて、少し気だるく、それでいて自由に歌うスタイルは当時としてもかなり個性的でした。今聴いても古さを感じさせない一曲です。

デビューアルバムは今でも色あせない

『Rickie Lee Jones』は、「Chuck E.’s in Love」だけで終わらないアルバムです。

「Danny’s All-Star Joint」では都会の片隅にある店の情景が目に浮かび、「Easy Money」はどこか肩の力が抜けた西海岸らしい雰囲気が漂います。「On Saturday Afternoons in 1963」も派手さはありませんが、彼女らしい繊細な世界観がよく表れた曲です。

アルバム全体を通して聴くと、一曲ごとに短編映画を観ているような気分になります。

派手な演奏で圧倒するわけでも、大げさな歌い上げをするわけでもありません。それでも、不思議と情景が頭に浮かんできます。

トム・ウェイツとの関係

当時、「女性版トム・ウェイツ」と紹介されることもありました。実際、二人は恋人同士だった時期もあります。

確かに共通する部分もありますが、作品から受ける印象はずいぶん違います。

トム・ウェイツが夜の酒場や裏通りを思わせるなら、リッキー・リー・ジョーンズは昼下がりの街角や海辺の空気を感じさせます。同じ都会を描いていても、色合いはまったく違います。

『Pirates』で見せた大人の表情

1981年に発表された2作目『Pirates』は、デビュー作とは少し雰囲気が変わりました。一度聴いただけでは印象に残りにくいかもしれませんが、何度か聴くうちに良さが分かってくるアルバムです。

「We Belong Together」や「Woody and Dutch on the Slow Train to Peking」などは、派手なヒット曲ではないものの、アルバム全体の空気をよく表しています。

長年のファンの中には、この『Pirates』を最高傑作に挙げる人も少なくありません。ヒット曲を並べるというより、一枚のアルバムとして完成度を高めようという姿勢が感じられます。

作品ごとに違う表情を見せる

その後もリッキー・リー・ジョーンズはコンスタントに作品を発表していきます。

『The Magazine』『Flying Cowboys』『Traffic from Paradise』と続きますが、どれも同じような内容ではありません。

例えば『Flying Cowboys』には「The Horses」や「Satellites」といった印象的な曲が収められています。フォーク色が強くなり、どこか温かみのある作品に仕上がっています。

さらに1991年の『Pop Pop』ではスタンダードやジャズを取り上げ、新しい一面を見せました。

普通なら、ヒットした作品の延長線上を狙っても不思議ではありません。しかし彼女は、その時々で自分が作りたい音楽を優先してきたように見えます。

だから作品ごとに雰囲気が違いますし、それが長く聴いていても飽きない理由なのかもしれません。

歌唱力よりも「歌い方」が魅力

リッキー・リー・ジョーンズは歌唱力のあるシンガーですが、魅力は声量やテクニックだけではありません。

言葉の置き方や間の取り方に独特のセンスがあります。少しリズムをずらしたかと思えば、自然に演奏へ戻っていく。しゃべるように歌うこともあれば、急に感情を込めることもあります。

その自由さが彼女らしさなのでしょう。同じような歌い方をする人は意外と思い浮かびません。

管理人のつぶやき

デビューアルバムのジャケ写が実にカッコいい。タバコが決まってる点ではドナルド・フェイゲンのナイト・フライに匹敵すると思います。額に入れて飾っておきたいくらい気に入っています。と言って、決してジャケ買いしたわけではなく、かの「Chuck E.’s in Love」聴きたさに買ったわけですが。

あのジャケ写はノーマン・シーフという著名な写真家の作品だそうです。他にも有名なアーティストのジャケ写をたくさん手がけていて、例えばジョニ・ミッチェル、ジェームス・テイラー、アート・ガーファンクル、カーリー・サイモンなど多士済々。意外なところではヴァン・ヘイレンなんかも。一瞬の魅力的な表情を捉えるのが実に上手かったらしいですが、なるほど納得です。

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