サンスイ AU-X1111MOS VINTAGE – サンスイアンプの頂点を極めたダブルイレブン

圧倒的なシェアを誇ったAU-07シリーズとは別系統の「マスターアンプ・AU-Xシリーズ」最終モデルです。パワー段に採用された高性能素子MOS FETを活かすべく贅を尽くした結果、重量35キロ超の横綱級プリメインアンプが完成しました。

サンスイ AU-X1111MOS VINTAGEとは

サンスイ AU-X1111MOS VINTAGE
サンスイ AU-X1111MOS VINTAGE

マスターアンプという別格の系統

サンスイのアンプで最も有名かつヒットしたのは、1976年に発売されたワイドレンジ・DCプリメインのAU-607/707を出発点とする「AU-07」シリーズでしょう。

1979年には、その後のサンスイアンプの中核的テクノロジーとなる「ダイアモンド差動回路」を搭載したAU-Dシリーズに進化。上級プリメイン市場で不動の地位を確立することになるフラッグシップの「907」が加わり、いわゆる松竹梅のラインアップが完成。幾多のライバルからの挑戦を退けながら、1999年発売のシリーズ最終モデルAU-α607NRAⅡまで続く異例のロングランシリーズとなりました。

いっぽうでサンスイは、AU-D907を発売した1979年、さらなる高みを目指し、あらゆる妥協を排した別シリーズのプリメインを発表します。それが「マスターシリーズ」の第1号機となる「AU-X1」でした。内容積の約7割を巨大電源部を中心としたパワーアンプ部が占める構成で、圧倒的に厚みのあるサウンドは並みのセパレートアンプを寄せ付けない実力、と高く評価されました。

シリーズ最終章を飾った「ダブルイレブン」

「ダブルイレブン」とはAU-X1111MOS VINTAGEの愛称です。

マスターシリーズの歴史を辿ると、初代が「AU-X1」、2代目がスーパー・フィードフォワード回路を搭載した「AU-X11」、3代目はサンスイとして初めてMOS FETをパワー段に採用するとともにバランス伝送回路を搭載した「AU-X111MOS VINAGE」と変遷。モデルチェンジごとにひと桁ずつ「1」が追加され、さらに「MOS VINTAGE」なるサフィックスまで付いてモデル名はどんどん長くなっていきました。

そして4代目にして最終モデルがこの「AU-X1111MOS VINTAGE」。お約束通り「1」が追加されましたが、読み方は「イチイチイチイチ」ではなく、響きのカッコいい「ダブルイレブン」となりました。

とても長いモデル名
とても長いモデル名

MOS FETという増幅素子

先代からパワー段に採用された「MOS FET」という素子。電界効果型トランジスタというトランジスタの一種です。技術的な違いはさておき、一般的なトランジスタである「バイポーラトランジスタ」と比べて音が良いとされます。いわく「繊細で切れ込みがある」とか「雰囲気とツヤが違う」とか。ただし、強力な電源部や周辺パーツのクオリティが高くないと実力が発揮できない、というなんとも贅沢な素子です。

ちなみに、著名なオーディオ評論家である長岡鉄男氏はMOS FETを非常に高く評価していたことで知られていました。氏のリファレンスアンプには、Lo-D(日立)のHMA-9500を始め、MOS FET採用機種が好んで使われていました。

ダブルイレブンはこのMOS FETを存分に活かすため、当然ながら大型トランスに大容量コンデンサーを採用。各パーツには高品位グレードのものを厳選し、さらに増幅回路と同様に電源部もバランス構成とし、アースからの影響を排除するなど贅を尽くした設計としています。

壮観な強力電源部
壮観な強力電源部

ツイン・モノラル・コンストラクション

パワーアンプ部は左右チャンネルの基板を独立させ、完全に対称となるレイアウトを採用。セパレートアンプに匹敵するいわゆる「ツイン・モノラル・コンストラクション」です。

左右チャンネル間の干渉に強く、また電源部や外部からの振動による左右アンバランスな影響を抑えることもできる優れた構造です。

シンメトリーなコンストラクション
シンメトリーなコンストラクション

美しいパネルとイルミネーション

大柄で無骨な印象だった初代と2代目とはガラリと印象を変え、3代目からはガラスのフロントパネルに「シャワーライト」と呼ばれるイルミネーション付きの入力セレクタースイッチが横一列にならぶレイアウトを採用。エレガントなイメージに変貌しました。

シャワーライト見たさに灯りを消すことも
シャワーライト見たさに灯りを消すことも

ダブルイレブンでは光沢あるリアルローズウッドをサイドウッドに採用。インシュレーターは制振性に優れたムクの純銅製で、重さはひとつ300グラム以上もある贅沢なものでした。

サイドウッドも鏡面仕上げ
サイドウッドも鏡面仕上げ

まさに「VINTAGE」の名にふさわしい風格と豊潤なサウンド。シリーズ最終章を飾るににふさわしい、所有する悦びを満たしてくれるアンプです。

データ

  • モデル名:AU-X1111MOS VINTAGE
  • 発売:1988年(昭和63年)
  • 定価:400,000円
  • 実効出力:110W/ch(8Ω)
  • 高調波歪率:0.008%以下(実効出力時 8Ω)
  • サイズ:W470 x H178 x D486(mm)
  • 重量:35.1kg

カタログより

AU-X1111MOS VINTAGE 単品カタログ
AU-X1111MOS VINTAGE 単品カタログ
ダブルイレブンは公式名称
ダブルイレブンは公式名称
MOS FETの本領発揮に投じた物量と技術
MOS FETの本領発揮に投じた物量と技術

管理人のつぶやき

ダブルイレブンが出た年代あたりからサンスイのロゴとコーポレートマークが変更になりましたね。個人的には新ロゴやマークは好きではなくて、前のほうが全然カッコ良かったと思います。

パイオニアとアイワもロゴ変えないほうが良かったと思います。新ロゴはどちらもポップになり過ぎたような。なお、ソニーに吸収された後のアイワロゴは問題外。

こうした変更はCI(コーポレート・アイデンティティ)といって、広告代理店やコンサルがブランドイメージ強化や刷新にゼヒ!と推し活していたんですよね。もしかして皆さん口車に乗っちゃった?

昭和の家電
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