かつて大手家電メーカーの一角だった三洋電機がRECシリーズとして展開していたラジカセのひとつです。ニックネームの「コアキシャル」が表すとおり「同軸」に配置した2ウェイスピーカーが特徴です。
目次
MR6200(RECコアキシャル20)とは
モノラルラジカセ末期の秀作
1960年代末頃に登場した「ラジカセ」。ラジオとカセットテープレコーダーを組み合わせた製品のことですが、その利便性が受けて急速に市場が拡大します。家電メーカー各社がこぞって参入し、機能や性能はどんどん向上。
並行してカセットテープも進化し、音楽録音に耐えうる品質のテープが登場すると、受けて立つラジカセもさらに音に磨きをかけていきました。高性能なクロームテープへの対応やスピーカーの大口径化・マルチウェイ化、大出力化などが既定路線になります。
さらなる飛躍はモノラルからステレオへの世代交代。1970年代前半に第1世代のステレオラジカセが登場しますが、本格的にステレオ化が進んだのは1970年代後半です。
コアキシャル20も1977年に発売されたモノラルラジカセ末期の製品だけに、サンヨーとしてのユニークさを突き詰めた秀作と言えましょう。
最大の特徴はコアキシャルスピーカー
一見、フルレンジスピーカー一発と区別がつきませんが、中心部にツィーターを配置したコアキシャル(同軸)2ウェイスピーカーを搭載しています。通常、ラジカセにおける2ウェイスピーカーのレイアウトはウーハーの斜め上にツィーターを配置します。なので一目で2ウェイスピーカーだとわかります。
コアキシャルの場合、デザイン的に工夫しないと2ウェイであることがなかなか伝わりません。これは販売面では苦戦の要因になります。
その一方で、音質面ではメリットがあります。高音と低音が同じ位置から出てくるので、音に一体感があります。「音像定位が良い」などという言い方をしますが、まぁモノラルラジカセではそのメリットが実感されることはほとんどないでしょう。
もう一つのメリットはスペースが節約できることです。斜め配置にくらべて高さを低く抑えることができます。
迫力の大口径20cmウーハー
ウーハーはクラス最大級の20cm。2ウェイスピーカーのウーハーは16cmが一般的でしたが、ステレオラジカセへの対抗上からかさらなる大口径化が進み、18cm(日立パディスコ TRK5240、ナショナル Mac RQ-588など)や20cm(ソニー CF-1990や本機など)、はては25cm(ビクター RC-550)とエスカレートしました。
5cmツイーターはレッドコーンを採用しています。
ユニークなLEDインジケーター
デザイン面ではスピーカー上部に配置されたLEDインジケーターが面白いです。
ファンクションスイッチのポジションを表すのかと思いきや、左から「パワー」「サウンドレベル」「レコード」「チューニング」「内部マイク」と、脈絡のない表示になっています。
一番謎なのは「サウンドレベル」。ラジオのチューニングスケールの右端にアナログのレベルメーターが付いてますが、さらにLEDを使って何を表そうとしたのでしょうか?
パワー以外、あまり実用性を感じません。デザイン優先で設けられたのではないでしょうか?でもなんだか八つ目ウナギを想起してしまいました。ユニークといえばユニークですね。
機能は必要最小限
録音・再生の機能は必要最低限に絞られています。
録音レベルの設定はオートのみ。テープセレクターも付いていません。このあたり、せっかくコアキシャルスピーカーで高音質を訴求していながら残念なところです。
データ
- モデル名:MR6200
- 発売:1977年(昭和52年)
- 定価:37,800円
- サイズ:W400 x H267 x D117 (mm)
- 重量:4.8Kg
カタログより
管理人のつぶやき
サンヨーというメーカーは、往時を今になって振り返るとなかなか面白いユニークな製品を出していたことに気付きます。
本機コアキシャルもそうですし、ステレオラジカセのMR9600は隠れた名機との呼び声もあるほど音質が良いです。80年代におしゃれラジカセブームを巻き起こした「U4」シリーズもサンヨーの功績ですね。
単品コンポではウーハーの平面振動版を前後からプッシュ・プルドライブする「ツイン・ドライブ」という空前絶後のスピーカーを開発しました。ウーハーの前面に駆動部が飛び出しているという異様なデザインもあってか、さっぱり売れなかったようですが…