シャープ ザ・サーチャー 303 – 自動頭出しのAPSS推し

「目の付けどころがシャープでしょ?」というスローガンは1990年から使われていたものらしいので、このラジカセ発売時にCMで謳われることはなかったと思われますが、それでも自動頭出し機能の「APSS」もまさに「目の付けどころがシャープ」に当てはまるものだったのではないでしょうか?

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ザ・サーチャー 303はこんなラジカセ

シャープ ザ・サーチャー303正面から
シャープ ザ・サーチャー 303

ラジカセのステレオ化が本格化した70年代後期に登場

1960年代後半に「ラジカセ」なる便利な複合商品が誕生すると、日本の家電メーカー各社はこぞって市場に参入。当初はモノラルラジカセからスタートしたものの、早くも1970年代初頭にはソニーがステレオラジカセを発売します。しかし高価であったことに加えてFMのステレオ番組がまだ少なかったことからヒットするには至りませんでした。

シャープ ザ・サーチャー303 斜め前から
スピーカー周囲のシルバーリングが若者向けなデザイン

メーカー各社が競ってステレオラジカセを発売するうようになったのは1970年代後半になってからのこと。シャープからは1977年に「ザ・サーチャー 7000(GF-202ST)」が発売され、翌年に本機(GF-303ST/SB)が登場しました。

自動頭出し「APSS」を搭載

シャープのラジカセのシリーズ名である「ザ・サーチャー」は、自動頭出し機能の「APSS(Auto Program Search System)」から来ているものと思われます。

APSS動作ランプ
APSS動作中はランプが光ります

カセットテープは手軽で便利な音楽メディアでしたが、曲の頭出しが面倒なのが弱点でした。普通のラジカセでは、再生中に早送りか巻き戻しボタンを同時に押し込み、「キュルキュル」という再生音が途切れる瞬間を狙ってボタンを解除するという操作が必要でした。

APSSでは、この無音部分をセンサーが感知して自動的に早送り・巻き戻しボタンを解除してくれますので頭出しが簡単です。各社も同様の頭出し機能を搭載するようになり、当初は再生中の曲または次の曲、つまり1曲分の前後頭出ししかできませんでしたが、のちには任意の曲数を飛ばした頭出しや、複数の曲の頭出しをまとめてメモリーしてプログラム再生が可能になるなど進化を遂げました。

テープの操作ボタン
操作しやすい2列のボタンレイアウト

2ウェイスピーカーに11Wの大出力

スピーカーは当時のステレオラジカセのスタンダードと言える16cmウーハー+5cmツイーターの2ウェイです。

ホワイトコーンのウーハーにはコルゲーションといって、同心円状の凹凸を持たせてあります。これはコーン紙の強度を増すとともに共振を抑える効果があります。

スピーカーグリルは開口率の高いブラックのパンチングメタル。スピーカーの黒いセンターキャップと相まって、ホワイトコーンが引き立つ良いデザインです。

グリル周辺の銀色のリングはキャビネットを補強し共振を抑える効果を狙ったもの。一見メタル風ですがプラスチック製です。

ウーハー
迫力あるウーハーのデザイン

ツイーターにはダーツの的のようなデザインのカバーがついています。ホーン効果を狙った形状にも見えます。

ツイーター
ツイーターのカバーはユニークなデザイン

出力は5.5W + 5.5Wの合計11Wという大出力。ライバル機では8Wでも大出力を謳ったものがありましたから、2桁ワットというのは大きなアドバンテージになりました。

充実の機能群

この時代のステレオラジカセに搭載されるべき機能はもれなく網羅しています。

  • ミキシング用マイク端子とフェーダーボリューム
  • マニュアルと自動の録音モード切り替え
  • 高性能なクロームテープも使えるテープセレクター
  • レコードプレーヤーを接続できるフォノ入力
  • ステレオワードモード付

ラジカセには珍しいFMミュート機能

特筆すべきは、FMのミュート機能です。FM放送は同調が外れた状態だと「ザーー」という耳につくノイズが発生しますが、ミュート機能をオンにするとノイズが抑えられます。単品コンポのチューナーでは一般的な機能ですが、ラジカセに搭載されるのは珍しいです。

各種機能の操作部
フル装備の機能群

嬉しいラウドネス・スイッチ装備

もうひとつ褒めたい点としては「ラウドネス・スイッチ」を搭載していること。ラウドネスとは、音量が小さいと高音と低音が聞こえにくくなるという人間の聴覚の特性を補うもので、小音量時に高音と低音をブーストする機能です。

トーンコントロールで補うことも可能ですが、ラウドネスは音量に応じて補う量を自動調整してくれることやスイッチ一つで動作させることができるなど、あると便利な機能です。

ラジカセやラジオなどは筐体の構造や大きさの制約から低音が鳴りにくいため、ラウドネスは常時オンにして使いたくなります。

スライド式ボリューム
ボリューム類はスライド式

FMはワイドバンド

一般的なFMの受信帯域は90MHzまでですが、本機は108MHzまで受信できるワイドバンド方式。テレビがまだアナログ放送だった時代には1~3チャンネルの音声が受信できるメリットがありました。現代ではAM放送の補完放送が受信できるということで、ワイドFM機能が見直されています。

ラジオのスケール
FMはワイドバンド仕様
レベルメーター
レベルメーターは欠かせないデザイン要素
カセットホルダー
カセットホルダーは倒立式
ザ・サーチャー303斜め下から
本機にはこのアングルがベストか?

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データ

  • モデル名:GF-303SB/ST(SBはブラック、STはシルバー)
  • 発売:1978年(昭和53年)
  • 定価:69,500円
  • サイズ:W 516 x H 271 x D 115 (mm)
  • 重量:7.2kg(電池含む)

カタログより

GF303カタログ表紙
ザ・サーチャー303単品カタログ
GF303カタログ中面その1
さまざまな利用シーンをアピール
GF303カタログ中面その2
ボディカラーはブラックとシルバーの2種類を用意
GF303機能説明
ソフトな雰囲気の機能解説

管理人のつぶやき

シャープファンの皆さまには大変申し訳ないことながら、当時、シャープのラジカセには全く見向きもしませんでした。ついでに言えばサンヨーもそうです。ナショナルやソニー、さらに東芝や日立と比べると1段落ちるというか…そんなイメージを持っていたせいです。

しかし!今日になってシャープやサンヨーのラジカセの実物を手にしてみるとそんなイメージを裏切る素晴らしい製品だったことがよくわかりました。若かりし頃の至らなさを反省するばかりです。

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