MM型カートリッジのオリジネーターであるシュアー社の看板モデルとして名高いV15シリーズの最終モデルです。マイクロリッジ(MR)針の採用により完成度を極めました。
シュアー V-15typeV-MRとは

進化するV15シリーズ
レコードのステレオ化に伴ってカートリッジの高音質化が求められるなか、シュアー社が1964に発売したV15は、垂直方向のトラッキングアングルをカッティング時と同じ15度に設定。垂直方向のトラッキングエラーをゼロとしたことで歪を極小化するとともに、わずか1グラムという軽針圧でも滑らかなトレースを実現。その性能に裏打ちされたハイクオリティなサウンドから、高性能カートリッジの出現を待ち焦がれていたオーディオファンより大喝采をもって迎えられました。
V15は、シュアーの造語である「トラッカビリティ(音溝への追従性という意味)」の追求を旗印にtypeⅡ、Ⅲへと進化し、1978年には「ダイナミック・スタビライザー」という導電性ファイバーブラシを装備したtypeⅣへと熟成されます。このブラシは、ホコリや静電気を除去する効果に加えて、レコードのそりに対する追従性の向上を狙った、文字通り「スタビライザー」でした。typeⅣはアナログ時代のMM型カートリッジのひとつの到達点といえるものでした。
CD時代に登場したタイプV
1982年にはオーディオのデジタル時代到来を告げるCD(コンパクトディスク)が登場。圧倒的なノイズの少なさやダイナミックレンジの広さは、アナログオーディオを一気に過去の遺物にしてしまうかと思われました。
ところがアナログオーディオも負けてはいませんでした。カセットデッキやレコードプレーヤー、FMチューナーまでもがCDに負けじとさらなる性能向上に邁進。カートリッジも例外ではありませんでした。
シュアーの名器V15もついにtypeVへと飛躍。カンチレバーの素材として定評のあったベリリウムを肉厚の極めて薄いパイプ状に成型し、振動系のさらなる軽量化を図っています。
そのtypdVをさらに改良したのがV15typeV-MRです。名前のとおり、針先チップにはtypeⅣの超楕円針よりさらに音溝との接触面積が広くとれるラインコンタクト針の一種であるマイクロリッジ(MR)針を採用。高域の伸びと歪みを大きく改善しました。
ダイナミック・スタビライザーはtypeⅣに引き続き装備していますが、オイルの粘性を高めてダンプ効果を向上させています。

オーディオ評論家も絶賛
オーディオ誌の製品レビューではCD時代に登場した新世代カートリッジらしい音質が高く評価されています。
スペアナでみるf特は25kHzにわずかに上昇があるがまずフラットとみなしてよい。聴感上もレンジが広く、透明度が高く、歪み感極小で、すがすがしい音というのが特徴。上下両端にアクセントをつけて、力強さを演出した音作りとは違い、物理特性の良さをできるだけ生かして自然に良い音を作っていこうという狙いのようだ。分解能が高く、オケやコーラスでも混濁しない。ボーカルが実にさわやかで、滑らかで適度な力強さもあってきれいだ。サ行、タ行、ハ行も自然である。
長岡鉄男 『別冊FMfan41号』より
今までのタイプVは高域が少しおとなしく、もうひと息のエネルギー感がほしかったのだが、MRになって、それが見事に出てくる。針先の形状からくるメリットであろう。シュアーの持ち味である、明るくて屈たくのない感じが大変によく伝わってくる。デリカシーに富んで、情報量の多い、豊かな音なのだが、それでいてチリチリとした神経質なところがなく、バランスが良い。ブラスのサウンドなど、大変な力があって見事であるし、ポピュラー系のベースなどもやぼったくならない。
石田善之 『別冊FMfan40号』より

データ
- 発売:1983年(昭和58年)
- 定価:66,000円
- 発電方式:MM型
- 出力電圧:3.2mV
- 周波数帯域:10~28,000Hz
- セパレーション:25dB(1KHz)
- 針圧:1.0~1.25g(ダイナミックスタビライザー使用時は+0.5g)
管理人のつぶやき
これは大変良いカートリッジだと思います。サウンドはダイナミックさと繊細さを兼ね備えており、MC型カートリッジに負けていません。自分の持っているMM型カートリッジのなかではオーディオテクニカのAT160MLと双璧です。
一方で、デザインでは同じシュアーならV15タイプⅣのほうがシックで好きですね。タイプVは、あの誇らしげな「V」マークがどうにもいただけない。なぜならついパチンコ台の「Vゾーン」を連想してしまうからです。パチンコやってた人ならわかりますよね?(笑)



