ソニーのモノラルラジカセ「スタジオシリーズ」はCF-1980/1980Ⅱがあまりにも有名ですが、他のモデルもラインアップされていました。CF-1760は鉄仮面を思わせるメタルフェースが印象的です。
ソニー CF-1760(スタジオ1760)とは

輝かしいメタルフェース
モノラルラジカセの完成形とも称されるCF-1980Ⅱは、本体上部にアルミパネルを採用することで上質感を演出、これが成功したとこが大ヒットのひとつの要因だったと思われます。

本機CF-1760はCF-1980Ⅱが発売される1年前の1975年登場なので、アルミパネル採用機としてはこちらが先輩。しかし、アルミパネルの面積はフロントの半分を占めるほどの大盤振る舞い。斬新なデザインではあるののの、上質感とは異なる印象です。
そのいで立ちはどこか「鉄仮面」と呼ばれたR30スカイラインと相通じるものを想わせます。
珍しい縦長スケール
もうひとつCF-1760のデザインを特異なものにしているのが縦方向にレイアウトされたチューニングスケールです。

ダイヤル指針の走行長を十分にとるために横方向にレイアウトされるのが一般的ですが、あえての縦レイアウト。しかも、BCLラジオでよくみられるようなフィルム式ですらありません。
走行長はそこそこ取れているし周波数の上下関係と縦レイアウトは自然とマッチしているので、これはこれで使いやすいですね。
マイクミキシング機能付き
スタジオシリーズに共通するマイクミキシング機能を搭載。カタログでは6パターンもの使い方を紹介しています。こうしてミキシングの楽しさや利便性を啓蒙していったわけですね。

のちにスタジオ1980がミキシング機能をアピールすることで大ヒットしますが、図らずもその露払いになったのかもしれません。
短波放送も楽しめる
ラジオは3バンドで短波放送が受信できます。もちろん海外の短波放送も受信できますが、当時ポピュラーだったのは競馬中継や株式市況などを放送している日本短波放送の聴取です。
NSBクリスタルというオプションパーツを装着すれば、日本短波放送のチューニングがぐっと簡単にできるようになります。

ちなみに、マイクミキシング機能がヤング(古っ)向けだとすれば、短波受信機能やNSBクリスタル対応はお父さん向け、という感じでしょうか。
カタログでもそんな訴求の仕方をしていますね。
データ
- モデル名:CF-1760
- 発売:1975年(昭和50年)
- 定価:36,800円
- サイズ:W322 x H246 x D103 (mm)
- 重量:3.9kg(電池含む)
カタログより



管理人のつぶやき
このラジカセはデザインの試行錯誤が垣間見れるような気がして好きなのです。
正直なところあまり成功したデザインとは思えませんけど、アルミパネルを使ってみようとか、縦長スケールで他社製品との違いを出そうとか企画者はあれこれ考えたんじゃないでしょうか。
そうした試行錯誤がのちのち優れたデザインを生む下地になったんじゃないのかな、と勝手に想像しています。