ソニー CF-1980mark5 – 少しハデになったシリーズ最終モデル

モノラルラジカセの完成形とも称されるCF-1980Ⅱ(スタジオ1980Ⅱ)の後継モデルです。時代はステレオラジカセへの移行期にあたり、本機もモノラルラジカセの集大成としての位置づけだったと思われます。

ソニー CF-1980mark5とは

CF-1980mark5
完成形の跡を継いだCF-1980mark5

完成形の後を継ぐ難しさ

冒頭にも書いたとおり、CF-1980Ⅱはソニーのみならずすべてのメーカーのラジカセを含めても、モノラルラジカセの完成形とか最終形と評されるに値するモデルでした。機能、音質そして何よりもデザインが素晴らしい。非の打ち所がないとさえいえるものでした。

そこまで完成度が高いのならば、本来ならばあえてモデルチェンジする必要などないはずです。しかしそこは世界一厳しいシェア争奪戦が繰り広げられていたニッポンの家電市場。毎年のモデルチェンジが恒例となっていたのでした。

どうすれば完成形のラジカセ後継機を作れるのか。ソニーのラジカセ企画・開発陣は大いに悩んだはずです。

CF-1980mark5トップパネル
トップパネルは1980Ⅱとほぼ同じです

ステレオラジカセへの移行期

1970年代後半はラジカセのステレオ機への移行が急速に進んでいた時期にあたります。ソニーもZILBAP(ジルバップ)のニックネームで打ち出したCF-6500がヒット。コンポのカセットデッキを思わせる正立式カセットホルダーが高級感を醸し出していました。

そんな状況下、メーカーにとってはモノラルラジカセをどうするか、ということは課題であったはずです。まだステレオ機は高価であり、手が出ないユーザーも多数いるなかでモノラルラジカセにあまり開発費をかけるわけにもいかない。そんなジレンマがあったのではないかと想像します。

お化粧直しでパワフルに

難しいCF-1980Ⅱのモデルチェンジに対するソニーの回答は「モアパワー」でした。

出力を1980Ⅱの3.2Wから5.7Wに大幅アップ。スタジオシリーズの特徴であるミキシング機能や基本的なデザインはそのまま継承されました。

デザインでほぼ唯一の変更点はラジオのチューニングスケールをブラックにしたこと。ブラックのスケールは実はソニーの歴代ラジカセでは主流ともいえる配色でした。初代スタジオ1980しかり、兄貴分にあたるCF-1990もそうですし、スタジオシリーズではないCF-1790もしかりです。

CF-1980mark5
チューニングスケールの色だけでずいぶん印象が変わります

そう考えると決して無謀な変更ではなかったはずですが、シルバーを採用したCF-1980Ⅱがあまりに完璧だったため、あたかも失敗のように感じられてしまうのはmark5にとって不幸でした。

mark5トリビア

CF-1980mark5は、実は「スタジオシリーズ」ではありませんでした。カタログには「Rock’n Roll Mark5」と謳われており、音楽をパワフルに鳴らすためのラジカセ、という訴求になっています。ちょっとZILBAPに通ずるものを感じます。

1980Ⅱとの違いがパワーだけなのですから、そこに焦点をあてるためにあえてミキシング機能を想起させる「スタジオ」は使わなかったのではないかと想像します。

もう一つのトリビアですが、「mark5」というとあたかもシリーズ5代目の印象を与えますが、スタジオ1980Ⅱのあとに3代目と4代目は存在しません。つまりmark5は実は3代目1980というわけです。なぜこんな不思議なネーミングになったのか定かではありませんが、一説によると出力の5.7Wをアピールするためだったとのこと。

mark5のバッジ
ハデ目なバッジ

データ

  • モデル名:CF-1980Ⅴ
  • 発売:1977年(昭和52年)
  • 定価:44,800円(1790Bは38,800円)
  • サイズ:W376 x H246 x D108(mm)
  • 重量:5.1kg(電池含む)

カタログより

CF-1980mark5カタログ
CF-1980mark5単品カタログ
カタログ中面1
パワーアップ以外は先代の機能を踏襲
カタログ中面2
音創りよりもカラオケを重点訴求

管理人のつぶやき

初代の1980を「化粧を覚える前の素朴な美少女」とすると、1980Ⅱはさしずめ「ファッションに目覚め、化粧もバッチリ決まった清楚な美人」。

で1980mark5はといえば「アイライン濃いめにしたらちょっとバランス崩れちゃったイケイケお姉さん」とでもしておきましょうか。好みは人それぞれということで。

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