ソニー CF-3800 – 4スピーカー搭載の高級ステレオラジカセ

ステレオラジカセの名機・ジルバップが登場する前の1976年にソニーがラインアップしていたステレオラジカセ4機種のうちいちばん高価なモデルです。4つのスピーカーによるマトリクス方式で豊かな臨場感を再現。

CF-3800(stereo3800)とは

CF-3800
フラッグシップモデルのCF-3800

ソニーのフラッグシップラジカセ

ソニーのステレオラジカセで有名なのは1977年に発売されたCF-6500に始まるジルバップシリーズではないかと思います。それまでのラジカセのイメージを一新するスタイリッシュで高級感溢れるデザインで人気を博しました。

CF-3800はジルバップより1年前に登場したモデルで、同時期にラインアップされていたステレオラジカセ4機種のうちの最上位機種でした。定価も79,800円とCF-6500よりも2万円以上高く、重厚感あるデザインもあいまってまさにフラッグシップの貫禄です。

側面にもスピーカーを搭載

CF-3800の機能面での最大の特徴は、フロントだけでなく左右の側面にもスピーカーを搭載した4スピーカーによるマトリクス方式ステレオです。

ステレオの臨場感を再現するには左右のスピーカーの間隔は広いほど有利ですが、それはボディのコンパクトさとのトレードオフになってしまいます。この二律背反に挑戦すべくCF-3800に採用されたのがボディ側面にもスピーカーを搭載したうえで、左右の音声信号に逆相信号を付加するマトリクス方式です。

側面にもスピーカー
側面にもスピーカーを搭載

マトリクス方式自体は左右2スピーカーのラジカセにも採用されることの多かった一般的な機能ですが、側面スピーカーを加えることにより一層広がり感のあるステレオイメージを実現していました。

スピーカーの形状は一般的な円形ではなく楕円形を採用することによってボディの横幅を抑え、ステレオラジカセでありながら音質を犠牲にすることなくモノラルラジカセ並みのサイズにまとめていました。

アンプにはトランスによる歪みを排したITL/OTL回路を採用。総合5Wの大出力で迫力あるサウンドを響かせます。

豊富な機能

入力にはラインに加えてフォノ入力も装備。フォノイコライザーを内蔵していますので、レコードプレーヤーを直接つなぐことが出来ます。

カセットデッキとしても使えるよう、ライン入力と出力端子を備えています。

入力切替やボリューム類
入力切替から独立したパワースイッチ

テープセレクターはノーマル、フェリクローム、クロームの3ポジションと贅沢です。ソニーが開発した磁性体二層塗りの高性能DUADテープを使うことが出来ます。安定したテープ走行を支えるサーボモーターを採用しています。

トーンコントロールは高音・低音それぞれを調節できる独立式。

本格的なFMチーナー部

高音質な音源であるFM放送をクリアに受信するため、FM以外の電波をカットするバンドパスフィルターを装備。また、良好な選択度を実現するセラミックフィルターや、ステレオ復調時のビート音発生を抑止するツインティフィルターを使用するなど、本格的なチューナー部となっています。

チューナー部
チューナーはFM/AMの2バンド

クラシカルなデザイン

ジルバップと比べるとグッとクラシカル、悪く言えば古臭いデザインです。とはいえ、わずかに湾曲したフロントパネルや厚みのあるボディからはフラッグシップらしい風格が漂います。

CF3800フロント
スピーカーグリルのデザインがクラシカル
CF-3800上から
トップパネルもクラシカルな雰囲気

データ

  • モデル名:CF-3800
  • 発売:1976年(昭和51年)
  • 定価:79,800円
  • サイズ:W390 x H303 x D143 (mm)
  • 重量:7.9kg(電池含む)

カタログより

ソニー ステレオラジカセ総合カタログ
ステレオラジカセ総合カタログ(1976年版)
左端がCF-3800

管理人のつぶやき

70年代末ごろからラジカセの巨大化が始まり、80年代にはシャープのザ・サーチャーシリーズを筆頭にコンパクトさとは完全に決別した恐竜のようなラジカセがブームになりました。

マッチョな外国人が肩に大型ラジカセを乗せて大音量で鳴らしながら闊歩する、あのイメージですね。

CF-3800はまだコンパクトさに価値を置いていた時代の最後のステレオラジカセと言えるかもしれません。この後に登場するジルバップではデザイン優先で丸形スピーカーを採用したことで、横幅は475mmと、CF-3800よりも85mmも大きくなりました。

コンパクトなボディに高音質メカを凝縮したCF-3800、ぜひ手元に置きたい一台です。

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