「ジルバップ」の愛称が付けられたソニーのステレオラジカセです。それまでの常識をくつがえす正立式カセットホルダーを採用。高級感のあるデザインを可能にしました。
目次
ソニー CF-6500(STEREO ZILBA’P)とは

他社に先駆けた正立式カセットホルダー
1967年頃にラジカセが誕生して以来、平置き型を除けばラジカセのカセットメカはカセットテープの天地を逆さまにしてホルダーに挿入する方式、いわゆる倒立式が常識でした。
倒立式ではカセットの操作ボタンがラジカセ本体の上部に位置することになるため、ボリュームやファンクション切替スイッチなど、他の操作系と一緒にトップパネルに配置されることになります。
このレイアウトは、モノラル機かステレオ機かに関わらずラジカセデザインのスタンダードとなっていました。
他社と違うことをするのが何より好きなソニーはこの常識に挑戦。正立式カセットメカを開発し、CF-6500に搭載して新しいレイアウトを世に問うたのです。

正立式を採用したことで様々なメリットが生まれました。まずカセットテープのレーベルが読みやすくなったこと。操作機構がレバー式になったことで、コンポのカセットデッキと同様な操作感を味わえるようになったこと。さらに、デザインの自由度が増したことも挙げられます。
CF-6500ではカセットホルダー上部に左右独立式のレベルメーターを配置。これが本機のデザイン上のハイライトになっています。
また、カセットホルダーがゆっくりと開くエアダンプ式イジェクトを採用。ここでも高級感を演出しています。
高級感あふれるデザイン
カセットテープ操作系以外はアルミヘアラインの美しいトップパネルに配置。ツマミやボタンは光沢あるシルバーで統一。無駄な装飾や色づかいを避け、落ち着いた気品あるデザインとしています。
テープセレクターを搭載しています。クロームテープよりも高性能をうたったソニーの「Duad」に対応したフェリクロームポジション付きなのもソニーらしいポイントです。

ラジオはAMとFMの2バンド。SW(短波)には対応していません。ライン入力はありますが、フォノ入力がありません。レコードプレーヤーを繋ぐには外付けのフォノイコライザーが必要です。

音質追求も抜かりなく
スピーカーは中低音用に16cmウーハー、高音用に5cmツィーターを採用。開口率の高いグリルに、音響効果を吟味したキャビネット構造としています。
アンプには入出力側ともにトランスを使わないITL/OTL回路を採用。かつIC化して信頼性を高めています。デザインに見合ったサウンドを追求しました。

ZILBA’P(ジルバップ)とは
もちろんソニーの造語ですが、カタログによると「Zoo, Intelligence, Learning, Body, Action, Playing」の頭文字ということです。直訳すると「動物園、知性、学習、カラダ、動作、遊び」。正直、なんだかさっぱりわかりません。
カタログのロカビリーなビジュアルからすると、ダンスの「ジルバ」に音楽の「バップ」を組合わせた、と説明してくれたほうがわかりやすいと思うのですが…

データ
- モデル名:CF-6500(STEREO ZILBA’P)
- 発売:1977年(昭和52年)
- 定価:57,800円
- サイズ:W475 x H298 x D128 (mm)
- 重量:7.0kg(電池含む)
カタログより


管理人のつぶやき
CF-6500登場以前のソニーのステレオラジカセは、性能的には良かったのでしょうがデザインがイマイチでした。例えばCF-3800という高級モデルなんかみると、かなりクラシカルな印象です。
モノラルラジカセではスタジオ1980mk2という素晴らしくモダンなデザインを実現していましたから、ステレオラジカセでもデザインの革新が待たれていたところに登場したのがジルバップ。正立式カセットメカを引っ提げて、ラジカセのステレオデザインに新しい風を吹き込んだのです。
当然のごとく他社も追従し、ステレオラジカセのレイアウトは正立式が主流になっていったのでした。いかにもソニーらしい製品だと思います。