2台のカセットメカを搭載したダブルカセットが特徴のステレオラジカセです。ダビングやミキシングが1台でできるというのがアピールポイント。ダブルカセットの先駆け的ラジカセです。
スーパースコープ CRS-4800とは
一足先にダブルカセット
1980年代に入ると、ダブルカセットを搭載したラジカセが徐々にポピュラーになりました。シャープのザ・サーチャーのような巨大ラジカセのみならず、おしゃれなテレコのサンヨーU4にもダブルカセットモデルが登場。
ダブルカセットの最大のメリットはテープからテープへのコピー(ダビングといいます)が1台のラジカセでできること。テープ1本をそのままダビングすることもできますが、ダビング時に不要なナレーションをカットしたり曲の順番を入れ替えたりなど編集ができるので、オリジナルテープづくりに重宝します。
スーパースコープのCRS-4800は一足早い1978年の発売。ダブルカセットの先駆け的存在といえましょう。
セカンドデッキはサイドに搭載
80年代のダブルカセットマシンはフロントに2台のデッキを並べるレイアウトが主流でした。
CRS-4800ではセカンドデッキをボディー左側にレイアウト。カーステレオのように、カセットテープをスロットインする方式でした。
フロントにデッキを2台並べると横幅が広くなってしまうのですが、この方式ならシングルデッキのラジカセと同じサイズで済みます。合理的なレイアウトといえましょう。
セカンドデッキの操作は上部のパネルから行いますが、本機独特のもので慣れが必要と思われます。
テープセレクターはメタルテープ登場前まで最高級グレードであったフェリクロームも使える3ポジション。録音レベル設定はオートのみでマニュアル調整はできません。
同軸2ウェイスピーカー
スーパースコープはオーディオの名門、マランツ傘下のブランドだけにラジカセといえども音質へのコダワリは捨てていません。
CRS-4800では直径16cmのウーハーと4cmのツイーターによる2ウェイ方式を採用。3.6W + 3.6Wのハイパワーアンプとあいまって、低音から高音まで充実した音質が楽しめます。
上から見るとわかるように、フロントパネルは左右のスピーカーがやや外側を向くように傾斜をつけています。これはステレオ感を補うための工夫と考えられます。電気的に臨場感を補正するマトリクス機能や同軸方式のスピーカーレイアウトとあわせて、音へのコダワリを見てとることが出来ます。
また、小音量時に低音と高音を補うラウドネス機能が内蔵されています。スイッチがないため常時オンになるのですが、スピーカーのキャビネット容量が限られるラジカセの場合、オフにすると痩せた音になってしまうため、常時オンで正解と思います。
高級感のあるスイッチ類
入力セレクターはプッシュボタン式なため、ダイレクトに入力を切り替えることができます。ラジカセで一般的なロータリースイッチやスライドスイッチに比べて高級感がありますし、入力切替時に不快なノイズが出てしまうこともありません。
データ
- モデル名:CRS-4800
- 発売:1978年(昭和53年)
- 定価:79,800円
- サイズ:W481 x H248 x D150(mm)
- 重量:8.0kg(電池含む)
カタログより
管理人のつぶやき
この時のスーパースコープのステレオラジカセは3機種ラインアップされていて、本機のほかに価格的には下位モデルのCRS-4000Ⅱと上位モデルのCRS-5000がありました。
このラインアップがマーケティング的にみごとだな、と思うのは、機能や性能に上下関係を持たせたのではなく、それぞれに明確な特徴を持たせて差別化していたことです。
CRS-4000Ⅱはスピーカーが中低音ダブルコーン+ツイーターという贅沢な3ウェイ構成。これはシリーズ最高のスペックです。CRS-5000はデッキ部が高級指向。単品コンポでも高級機にしか採用されていなかった3ヘッド搭載だったことに加えて、マニュアル録音ができたりドルビーNRがついていたりと本格派でした。
なので、録音品質にこだわるならCRS-5000、ダビングやミキシングに興味があるならCRS-4800、気軽に良い音を楽しみたいならCRS-4000Ⅱというすみ分けができていたわけです。
一般的には安いモデルほどショボイものですが、この3兄弟はどれも良く出来たラジカセですね。