昭和時代はあらゆる面で大らかというか、今風にいえば「ユル」い時代でもありました。ただそれは今日の視点で見るからであって、当時としてはごく普通だったのですね。ここではそんな昭和のユル玩具をご紹介します。現代なら発売即炎上も必至?
恐怖のバラバラ人体
き、恐怖のバラバラ人体です…
内容物は片手の手首から先1点、指先2点、耳1点に鼻1点。
肌色をしたラバーでできていて、暗闇で見たらギョッとすること請け合いのリアルな質感です。

人を驚かせて面白がる、という悪趣味な遊び用ですね。
さすがにバラバラ人体まではいかずとも、この手のユル玩具はいろいろありました。
「チューインガムをあげましょう」といって差し出し、相手がガムを取り出すとばね仕掛けの金属ピンが「バチン!」と指を強打しちゃう『パッチンガム』。
椅子の上の敷物の下に忍ばせて、人が座ると「ブビ~~~ッ!!」とおならサウンドが炸裂する『ブーブークッション』
今なら逆切れされてひどい目にあわされそうですね。こういう冗談はもはや通じない世の中です。
スパイの缶詰
アメリカ製テレビドラマ『スパイ大作戦』とか映画『007シリーズ』の影響でしょうか、スパイとはカッコ良いもの、という憧れを抱いていた少年は多かったのではないでしょうか。
そこに目を付けが玩具が流行したことがあります。「スパイ手帳」とか「スパイの缶詰」など。

それ自体は別に良いんです。問題なのはこのマーク。

左回転ならいざ知らず、右回転のカギ十字はマズイでしょう。はい、NG確定です。
スモーキングこけし
子どもは大人のマネをしたがるもの。大人のやることはカッコイイこと。
そんな大人の真似事の筆頭と言えるのが「タバコをふかす」でした。タバコを模したラムネ菓子の『ココアシガレット』とかチョコクリームが詰まったマドロスパイプ状の『ソフトマドロス』なんてのもありました。
この『スモーキングコケシ』もタバコふかし系の玩具ですが、自分がふかすのではなく、人形にやらせるところがあざといというか斬新というか。

特に問題ないオモチャのように思えますが、問題なのは火を使う事。コケシのパイプに指す細長いタバコ風のスティックは、中味はセルロイドなんですが、一定間隔で火薬が仕込まれているため、火をつけると「ポッ、ポッ、ポッ」と火薬の発火によって煙の輪っかが出来るのです。
見ていると和みますが、子どもに火を使わせるのはダメですよね。
昆虫採集セット
「学校教材用」とありますが、本当かなぁ?学校でこんなモノを授業に使ったり斡旋販売したことはなかったと思います。

「採集」というのは正確ではなく、採集した後の昆虫を「標本にする」ためのセット。
本物の注射器に、赤と緑の二種類の薬液が付いているのがお約束でした。
「赤」は生きている昆虫の命を奪うクスリで、「緑」は標本のための保存薬。
まったく恐ろしいですよね。特に「赤」は。

白状してしまうと、ワタクシめはこのセットで犠牲者を出したことがあります。もちろん昆虫ですが。
子どもって残酷なことを結構平気でやってしまうんですよね。で、やった後に何かすごくいけないことをした感覚に襲われるのです。これも命の大切さを学ぶプロセスのひとつだったのかもしれません。