1970年、トヨタが満を持して発表した「セリカ」は日本の自動車市場に新たな潮流をもたらしました。セリカは「スペシャリティカー」という新たなカテゴリを切り開き、スポーティなデザインと手の届く価格で、多くの若者の心を掴みました。
目次
トヨタ セリカ(初代/A20・30型)とは

初代セリカは、愛称「ダルマ」として親しまれるクーペとユーティリティ性の高いリフトバックという2つのボディスタイルを展開。発売からすぐに大ヒットとなり、以降7代にわたって続くセリカの歴史の礎を築きました。
ハードトップの愛称は「ダルマ」
1970年にデビューしたトヨタ初のスペシャリティーカー、セリカ。キャッチコピーは「未来の国からやってきたセリカ」。
そんなメーカーの思惑とは裏腹に、ユーザーが付けた愛称はなんと「ダルマ」でした。その由来は、ダルマのようにふくよかなボディラインからのイメージとか、スラントノーズのフロントで存在感を発揮するメッキバンパーが、両端がクイっと上がってダルマのヒゲのように見えるからだともいわれています。

アメリカ生まれのコンセプト
スペシャリティーカーとは、1960年代のアメリカで誕生した自動車カテゴリで、個性的なデザインや高級感を重視しながら、大衆向けの車種をベースに開発されたモデルのこと。フォード・マスタングが代表例で、スポーティな外観や走行性能を持ちながら手の届きやすい価格設定が特徴です。
セリカもその流行にならった成り立ちのクルマで、兄弟車となるファミリーセダンのカリーナとシャシなど主要コンポーネントを共用していました。

自分だけの一台がオーダーできる歓び
スペシャリティーカーを大成功させたフォード・マスタングは、さまざまなオプションを組み合わせて自分好みの仕様を作れるセミオーダーシステムを採用していました。
商売上手なトヨタはこのシステムにも目をつけ、セリカでも「フルチョイスシステム」を採用。エンジンのスペックから始まり、内外装や装備、足回りなどさまざまな項目をいくつもの選択肢の中から自分の望むものを選び、「自分仕様」のセリカを作る歓びを提供したのでした。
スパルタンなGT
もっとも、最上位モデルである「GT」にはフルチョイスシステムは適用されず、1588ccの2T-G型DOHCエンジンと5速MTの組み合わせのみとされました。
また、内外装の色も選択に制限がありましたたが、これは最上位であるがゆえのスポーツイメージを優先した設定だったものと推測されます。GTのみ、フロントグリルがスポーティなハニカムメッシュ形状とされるのもその表れといえるでしょう。

実用性にも優れたリフトバック
1973年にはテールゲートを備えたファストバックスタイルのリフトバックが追加されました。
ハードトップのリアウインドウとトランクをなだらかな大型テールゲートに変更し、開口部が大きく荷物が出し入れしやすい利便性と積載性、そして優雅なリヤスタイルを見事に両立してみせました。

さらにフロントノーズもクーペより長くされ、より伸びやかさを強調したスタイルとなっています。 リフトバックはその大きなリアゲートの下にあるラゲッジルームにさまざまなレジャーアイテムを放り込み、海へ山へと繰り出してレジャーを楽しむアクティブでリッチな大人像を打ち出し、さらにスペシャリティ感を演出。ダルマセリカとは少し違ったイメージをもって、さらに広い世代に人気を得ることに成功したのです。
データ
- 販売期間:1970年(昭和45年)~1977年(昭和52年)
- エンジン:直列4気筒 1.4/1.6/2.0L
- ホイールベース:2,425mm
- 全長:4,215mm
- 全幅:1,620mm
- 全高:1,280mm
- 重量:1,040kg
管理人のつぶやき
新車のクーペなんてとんと見かけなくなりました(という気がします)。クルマにカッコ良さを求めるのはもはや古い価値観なのかな、と少し寂しくなったりもしますが、かくいう自分もクーペに憧れこそ抱いたものの所有したことは一度もありません。やっぱり実用性も考えてずっとセダンを選んできました。
そのセダンすらももはや絶滅危惧種で、今の主流はワゴンやSUVなんですね。セダンが廃れた理由がイマイチわかりません。ワゴンはともかく、SUVがセダンより実用性に優れているとも思えないので、単なる流行なのでしょうか。皆さんはなぜだとおもいますか?
流行は巡ると言いますから、いずれセダンやクーペが復権する時代もくるのかしら。
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