トヨタ コロナ(3代目)- BC戦争を征したバリカンコロナ

長らくトヨタの屋台骨を支えたと言って良い主力車種のコロナ。日産ブルーバードとのライバル関係は「BC戦争」と呼ばれ、熾烈な販売合戦が繰り広げられました。3代目コロナは初めて販売台数でブルーバードを追い越した記念すべきモデルです。

トヨタ コロナ(3代目/T40・50型)とは

トヨタ コロナ 3代目
コロナ3代目 T40型

宿敵・日産ブルーバード

1957年にデビューしたトヨタ自動車製乗用車である初代コロナ。その名は英語で“太陽の光冠”を意味します。

当時の国内乗用車市場では、トヨタの王冠たるトヨペット・クラウンが中型タクシー市場を席捲していました。その一方で、小型タクシー市場は日産のダットサン110型/210型が独占する状況。そのダットサンへの対抗馬としてデビューしたのが、初代コロナでした。

しかしながらダットサンの牙城は崩し難く、1960年に世代交代したRT20型の2代目コロナも、210型の後継で初めて「ブルーバード」を名乗った日産310型の後塵を拝することに。

上品で繊細な印象のRT20型の大きな弱点は、当時の乗用車需要を見誤ったことにあります。
まだ乗用車そのものは、法人ユースやタクシー&ハイヤーで使用するケースが多く、そこで使用した際の耐久性や信頼性で、日産ブルーバード310型に大きく劣っていたのでした。

一新したデザインと性能で宿願達成

ところが、トヨタは1964年、日本最大のイベントである東京オリンピックが開催される1カ月前の9月、トヨタが総力をあげて開発した新型トヨペット・コロナT40型を市場に送り出し、状況が一変します。

コロナ フロント
高級感のあるフロントマスク

丸眼4灯式ヘッドライトはメッキを多用したフロントグリルと相まって高級感を演出、フラットデッキスタイルを採用したボクシーなスタイルに、フロントからリヤにほぼ一直線に流れるトヨタが「アローライン」と呼んだ特徴的なサイドビューも斬新でした。

先代のコロナが「大きなパブリカ」を思わせるのどかで地味な外観だったのに対してイメージ一新に背成功したのです。ただ余談ながら「バリカン」をイメージさせる顔つきということから「バリカンコロナ」というあだ名がつきました。

コロナ サイドビュー
アローラインと呼ばれた直線基調

メカニズムにも最新の技術を投入。1.5リッター直列4気筒OHVエンジンは最高出力70ps/5000rpm、最大トルク11.7kg.m/2200rpmを発生し、組み合わせるトランスミッションは4MTのほか、3速コラムMT、2速ATの“トヨグライド”も設定。車両重量945kgのコロナを最高速度140km/hにまで引き上げる高速性能ぶりでした。

販売戦略も時代を見据えたものでした。3代目コロナ登場前年の7月に開通したばかりの日本初の本格的都市間高速道路である「名神高速道路」で10万km連続高速走行公開テストを敢行。高速走行性と耐久性をアピールしました。

これからまさにハイウェイ時代が到来することを見越したこの戦略は大当たり。ブルーバードの牙城を一気に突き崩し、65年初頭にはついにブルーバードの販売台数を追い抜き宿願である国内1位を達成したのです。

豊富な車種バリエーション

4ドアセダンをベースとして、車種展開にも積極的でした。

高速道路を長距離、ハイスピードで大都市間を行き来する時代の到来は、社用車や営業車などのビジネス・エクスプレスの需要も刺激し、バンモデルの注目は高かったのです。高速性能と耐久性をアピールしたコロナはそうしたニーズをとらえ、ビジネスユーザーのあいだでヒット作となりました。

また、デビュー翌年の1965年7月に、日本車として初めてのピラーレス2ドアハードトップ(RT50型)を追加し、後のスペシャリティカーの先鞭をつけました。 RT50型ハードトップモデルは、後にヤマハと協働による高性能テンロク(1.6リッター)DOHCエンジンを搭載した「トヨタ1600GT」を輩出することになります。

コロナ1600S
ピラーレスハードトップの1600S

データ

  • 販売期間:1964年(昭和39年)~1970年(昭和45年)
  • エンジン:水冷直列4気筒 1.2L, 1.5L, 1.6L
  • ホイールベース:2,420mm
  • 全長:4,110mm
  • 全幅:1,550mm
  • 全高:1,420mm
  • 重量:945Kg

管理人のつぶやき

子どものころから天邪鬼的性格だったせいで、なんでも1番よりは2番手や3番手を応援する傾向があります。アンチ「巨人・大鵬・玉子焼き」ですね。

物心ついたころにはすでに自動車ではトヨタがナンバー・1、日産が僅差で追う展開でしたので、自然と日産を応援するようになっていました。

なので3代目コロナのライバルだったブルーバード510を推してしまう自分がいるのですが、改めて「バリカンコロナ」を調べてみると単に販売力だけで勝利したのではないことが理解できました。しゃくれアゴを思わせる顔つきはオリジナリティ溢れていてなかなか良いですね。見直しました。

フォトギャラリー

コロナ3代目
赤レンガ倉庫を背景に
コロナ3代目正面
通称バリカン
コロナ3代目
コロナ3代目
コロナ3代目
直線基調のフォルム
コロナ3代目
コロナ3代目
コロナ3代目
コロナ3代目サイド
コロナ3代目リア
オートマのトヨグライドを搭載した個体
コロナ3代目
アルファロメオを思わせるレッド
コロナ3代目
コロナ1600S
コロナ1600S
コロナ1600S
メッキを控えてスポーティな印象に
コロナ1600S
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