先代から引き継いだ直線的なスタイリングを進化させ、さらに力強いデザインを身にまとった6代目クラウン。その堂々たる体躯とイカつくなった顔つきからついたあだ名はなんと「オニ(鬼)クラ」でした。
トヨタ クラウン(6代目/MS110系)とは

マイナーチェンジでオニに変身
純和風セダンの雄、トヨタ・クラウン。歴代のキャッチコピーにもザ・ニッポンの香り漂うものが定番でしたが、6代目も前期型では「日本の薫り」を掲げていました。
直線基調のボディに端正でスッキリした灯火類やボディパーツ、シンプルで居心地のよい室内など、キャッチコピーにふさわしく、上質でありながら控えめで品のよいサルーンとして歓迎されました。

そんな端正なセダン然としていた前期型から1981年、後期型にマイナーチェンジされました。セダンは角4灯(スタンダードグレードは丸4灯)から大型異形の角2灯にフェイスリフトされたのですが、つり上がり気味のまなじりと威厳のあるグリルが絶妙にマッチした結果、端正というよりはむしろイカつい雰囲気が醸し出され、「鬼の形相」などと陰口をたたかれてしまいました。そこからついたニックネームが件の「オニクラ」。鬼のクラウンとして日本車の歴史に名を残すことになりました。
中身はやっぱりクラウン
6代目クラウンのメカニズムは、トヨタの最高級車にふさわしく技術の粋を集めたものでした。主力は直列6気筒エンジン。2リッターの1G-EUから2.8リッターの5M-EUまで、燃料噴射装置(EFI)を備えたエンジン群は、先代から投入されたOD付4速ATを主力とするミッションと組み合わされ、静粛性と滑らかさで定評がありました。特に2.8リッターのロイヤルサルーンは、高速巡航時の余裕あるトルクが魅力で、役員車やタクシー上級グレードとしても人気を博しました。

また、ライバルである日産 セドリック/グロリア(430系)が、1979年11月より国産量産モデル初となるターボエンジン搭載モデルを導入したことに対抗し、1980年10月、トヨタ初のターボチャージャー付である2000ターボが追加されたことも大きなエポックでした。
装備面ではフロントに加えリアにもパワーシートを、前後独立調整式オートエアコンや電動スライドサンルーフといった快適装備のほか、電子式デジタル表示チューナーやデジタルメーターなど、80年代を迎えるにふさわしい先進機能をどん欲に取り込みました。特筆すべきはクルーズコンピューターで、マイコンによって消費燃料量、平均車速、航続距離、目的地の到着予想時間などを表示することができました。
熟成されたピラードハードトップ
先代が「高級なパーソナルセダン」を打ち出すためにラインアップした4ドアハードトップは、安全性にも配慮したセンターピラー付きのハードトップ(ピラードハードトップ)でした。
6代目クラウンもそのボディを踏襲。ドアガラスを閉めた状態でピラーが隠れて見えるスタイルは、80年代以降のクラウンのスタンダードとなりました。

データ
- 販売期間:1979年(昭和54年)~1983年(昭和58年)
- エンジン:直列6気筒 2.0,2.4,2.8L、
- ホイールベース:2,690mm
- 全長:4,860mm
- 全幅:1,715mm
- 全高:1,410mm
- 重量:1,500kg
管理人のつぶやき
クルマのあだ名は色々あれど「オニ」とはまたよく付けたもんだと思います。クラウンのあだ名でまず思い浮かぶのは4代目の「クジラ」ですが、「オニ」もインパクトでは負けていませんね。ちなみに初代クラウンは観音開きのドアから「観音クラウン」。これはごく自然な命名です。
ほかのトヨタ車だと初代セリカの「ダルマ」やしゃくれたアゴの「バリカン」3代目コロナなんかが愉快ですね。
日産だと超有名な「ハコスカ」や戦闘力高そうな「鉄仮面」の6代目スカイライン、あとピニンファリーナのデザインが日本人ウケしなかった「タレケツ」2代目ブルーバードあたりがよく知られているでしょうか。
世の中が付けたあだ名。メーカー謹製のニックネームとは全く違った味わいがいいですね。
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