果物をふんだんにつかった甘~い本物のジャムとは違って、ちょっとしょっぱいのが駄菓子の梅ジャム。ミルクせんべいに塗って食べるとちょうどいい味になります。
梅ジャムとは
元祖はクズの梅干しから
現在(2024年)販売されている梅ジャムはすべて後発商品で、元祖の梅ジャムは「梅の花本舗」が製造販売していたもの。梅の花本舗は社長の高林博文さんが戦後まもなく起業した会社ですが、実質的には高林社長がひとりで切り盛りしていました。高齢のため、全国の梅ジャムファンに惜しまれながら2017年末に廃業しています。
梅ジャムは、子どもたちに人気の娯楽であった紙芝居で売られていたミルクせんべいに塗るために発案されたものでした。それまではミルクせんべいにはソースを塗るのがお決まりでしたが、何か目新しいものが欲しい、という紙芝居屋さんからの相談を受けて、高林さんが目を付けたのが乾物屋で売られているクズの梅干し(梅肉)でした。そのままではしょっぱ過ぎるし見た目も良くないため、すりつぶした梅肉に水と甘味料や着色料に小麦粉などを加えて煮詰め、試行錯誤のすえみごと商品化に成功しました。
しょぱさの秘密は梅干しだったんですね~。
紙芝居だけでは需要に限りがあるところ、高林さんにとって幸運だったのは昭和20年代後半になると駄菓子屋が流行しだしたこと。駄菓子屋で販売するため、小袋入りの見慣れたパッケージが生まれたのもそのころです。目論見が当たって駄菓子屋でも定番商品に。世代を越えるロングセラーとなりました。
現行商品を買ってみた
現在、駄菓子屋さんや100均、コンビニなどで買える梅ジャムは複数のメーカーから出ています。
梅ジャム単体で売られているものが多いようですが、ミルクせんべいとセットになった商品も。
梅ジャムはやはりミルクせんべいに塗って食べないとあまりおいしくないので、セット売りは良いアイデアですね。
写真の左側は単品売りのもので、右側はミルクせんべいとセットのものです。どちらもオリジナルの梅ジャムのパッケージデザインを踏襲していますね。
食べてみた
ミルクせんべいのうえに絞り出してみると、ぜんぜん色味が違います。
左のほうがいかにも着色料たっぷりの駄菓子感が強いです。
食べてみると、見た目のイメージどおり左のほうが梅らしい風味がハッキリしていてオリジナルの梅ジャムに近いと思いました。やっぱりしょっぱくて、ほのかに甘いミルクせんべいと調和してなんとも懐かしい味わいになります。さすがに「紀州」を名乗るだけありますが「元祖」はいかがなものか?
右のほうは梅感が弱く、しょっぱさ強めに感じました。目をつぶって食べたら梅ジャムとはわからないかもしれません。せっかくミルクせんべいと一緒に売っているのですから、もっと梅感を出して欲しいところです。
管理人のつぶやき
クズ梅だから安く手に入る、というのが目を付けた一番の理由だったんでしょうが、いまふうに言えばエコでもあります。
ベビースターラーメンも乾麺の製造時に発生したクズに味付けして社員におやつとして提供したのが始まり、だそうですね。
買ってきた野菜、例えば大根の葉っぱなんか捨てちゃっていますけど、炒めて味付けすると美味しいおかずやおつまみになりますよね。面倒がらずにちょっとした手間と工夫を心がけよう、と思った管理人でした。