1986年にヤマハから発売されたプリメインアンプのフラッグシップモデル。1983年に発売されたA-2000の改良版です。独自の回路方式により高品位なAクラス動作でありながら大出力を確保。エレガントなデザインも特長です。
ヤマハ A-2000aとは

ヤマハの2000番
オーディオメーカーとしてのヤマハは、音の入り口であるカートリッジから出口であるスピーカーに至るまでフルラインアップ。いずれのカテゴリーでも独創的な技術とセンスあるデザインで数々の名器を輩出してきました。
各カテゴリーに歴史的といえるモデルをあげることができますが、最も有名なのはスピーカーのNS-1000Mではないでしょうか。1本10万円クラスの高級ブックシェルフのベンチマークとされ、多くのライバルからの挑戦をことごとく退けながら、異例とも言えるほどの長期にわたりトップモデルとして君臨しました。しかしながらNS-1000Mはヤマハスピーカーの最高峰ではなく、上位にNS-2000というフラッグシップが存在していました。
ヤマハにおける「2000番」はエースナンバーと呼べるもので、MCカートリッジのMC-2000(1982年)、レコードプレーヤーのGT-2000(1982年)、カセットデッキのK-2000(1982年)、FMチューナーならTX-2000(1988年)、CDプレーヤーではCD-2000(1985年)など、その時代のトップモデルに冠された栄光のナンバーでした。
実は2000番の採用はプリメインアンプが最も早く、1976年発売のCA-2000で初めて採用されました。
クラスAへのこだわり
いくつかあるアンプの増幅方式のうち、最も高品質とされるのが「クラスA(A級)」と呼ばれる方式です。これは、増幅素子(トランジスタ)に、最も直線性のよい動作(歪みの少ない動作)をさせるため、入力信号の有無や大小にかかわらず、常に一定量のバイアス電流を供給する方式。無信号の時にも最大出力時と同じ電力消費があるため効率の面からは最悪で、大出力アンプには不向きです。また、大量の発熱も避けられません。
ヤマハは最高の音を求めてクラスAにこだわり、CA-2000ではクラスAとクラスBの切替スイッチを装備していました。クラスAでは30W、クラスBなら120Wと、音源や好みに応じて性格の異なる2台のアンプを使い分けるような愉しみがありました。
A級とB級の良いとこ取り
CA-2000の後継機として1983年に発売されたA-2000では、クラスAのクオリティとクラスBの大出力をスイッチで切り替えることなく両立させる画期的な新方式を開発。それが「デュアルアンプ・クラスA」と命名された回路です。これは、小出力のA級アンプと大出力のAB級アンプを協働させることにより、スピーカーの駆動は高品位なA級アンプが担いながらも電力損失は効率の良いAB級アンプが受け持つ、というまさに分業のお手本のような巧みな回路でした。
実は当時、バイアス電流を入力信号に応じて変動させることでクラスBで避けられないスイッチング動作を回避する回路が流行しており、「疑似クラスA」などと呼ばれていました。ただし、本来固定的であるべきバイアスを変動させることに懐疑的なメーカーもあり、ヤマハもバイアス可変方式は採用せず、このような独自の回路を開発したのです。
ユニークなリッチネス回路
A-2000aにユニークなアクセサリーとして、低域を補強する「リッチネス回路」が挙げられます。
低域をブーストするには、トーンコントロールを使うかラウドネス・スイッチをオンにするのが一般的ですが、いずれもかなり高めの周波数から低域を持ち上げるため、ともすればブーミーな低音になりがちです。
これに対し、リッチネス回路はNS-1000MとNS-2000の特性にあわせてごく低い周波数を持ち上げる設計になっているため、それぞれのスピーカーの低域をフラットに1オクターブ伸ばすことが出来るというもの。密閉型ゆえに、低域がタイトであるという両スピーカーの特性を補正することに特化した点が実にユニークといえます。

ルックスもヤマハ・ビューティー
「ヤマハ・ビューティー」とは、ヤマハのコンポーネントを称えるのによく使われる褒め言葉。意味するところは、音質的には「全帯域に渡って強調感やクセのないナチュラルさ」ですが、外観の美しさを指すためにも使われます。
楽器メーカーならではの高度な木材加工技術を活かしたキャビネットや、機能的でありながら清楚なパネルデザインはヤマハらしさの象徴といえるでしょう。

A-2000aにもその特長は存分に活かされています。光沢が素晴らしいピアノ仕上げのサイドウッドや、シーリングパネルを使ったシンプルなフロントマスク。パネル内のノブやスイッチにさえも気品が感じられます。

データ
- モデル名:A-2000a
- 発売:1986年(昭和61年)
- 定価:195,000円
- 実効出力:150W/ch(6Ω)
- 高調波歪率:0.002%
- サイズ:W473 x H169 x D464(mm)
- 重量:26.0kg
カタログより

管理人のつぶやき
ヤマハほどオーディオコンポの各カテゴリーに名機を送り出してきたメーカーはないんじゃないかと思うほど、オーディオメーカーとしての総合力には目を見張るものがあります。
カテゴリーによって求められる技術やノウハウは、ある程度重なる部分はあるもののかなり違うと思います。アンプなら電気回路や電子部品、チューナーなら高周波、スピーカーなら振動解析や成型技術、カートリッジなら微細な加工技術、カセットデッキやレコードプレーヤーならメカトロニクスなど。
特定のジャンルに強くなろうと思えばその分野に経営資源を特化すれば良いわけですが、総合メーカーを目指すと全部やらなきゃいけない。これは大変なことですよね。オーディオ市場が大きかった70年代、80年代ならそうしたビジネスも成り立ったのでしょうが、今日の市場規模ならジャンル特化型でないと厳しいでしょうね。


