高音質化を狙ってラジカセの大型化がどんどん進んだ80年代。パイオニアからは、オーディオメーカーの意地とばかりに定価10万円を超える高級ラジカセが登場。ランナウェイシリーズのフラッグシップモデル SK-900です。
目次
パイオニア SK-900とは

10万円オーバーの超高級ラジカセ
70年代後半にモノラルからステレオタイプに人気が移行したラジカセは、音質追求のための大型化と高性能・多機能化が進み、それに伴って価格もジワジワ上昇していきました。
定価で10万円を初めて超えたラジカセ(テレビ付きやキャリーハンドル付きミニコンポを除く)は、管理人調べでは1979年にナショナルが発売したRX-7700で、定価はなんと13万8千円。一般的なステレオラジカセなら2台も買えてしまう驚きの価格でした。しかしながらこれはコンセプト不明の不思議なラジカセで、デザインも異質ならかつて流行したBCLラジオさながらに短波が3バンド構成なのも意図不明。いったいどこが10万円超の付加価値なのかよくわからないラジカセでした。
そんなナショナルからは翌80年、さらに高価なRX-7200(STATION)というラジカセが登場します。こちらは高級コンポ並みの高性能デッキにPLLシンセサイザー方式のチューナー、サイドウッド付きの重厚なキャビネットなど、明らかに高音質を追求した正統派高級ラジカセでした。
いっぽう、シャープからはお得意のダブルカセットにスーパーウーハーを搭載した巨大ラジカセ、GF-900シリーズが10万円オーバーのプライスタグを引っ提げて1981年に登場します。
そんなオーバー10万ラジカセの時代に、オーディオ専業メーカーのパイオニアが満を持して投入したのが本機、ランナウェイ SX-900でした。定価は10万7千円。
白いパッシブラジエーター
SK-900の最大の特徴と言えるのが左右4発の白いスピーカー。内側のふたつは正確にはパッシブラジエーターと言って、ボイスコイルを持たない文字通りパッシブ(受動的)なコーンです。外側のドライブ用スピーカーの振動に共鳴して低音を増強するように働きます。12cm口径と小型ながら、パッシブラジエーターのおかげで豊かな低音を響かせることができるのです。

さらにスピーカーを納めるキャビネットはカセットメカや回路から独立した密閉構造。左右も独立しているため、キャビネット内部で左右の音が干渉しあうことがありません。キャビネットの厚みを十分とるとともに、スピーカーが取り付けられる正面のバッフル板には共振しにくい高比重樹脂を採用。大音量でもビビリのないクリアーなサウンドを届けます。
ドライブ用スピーカーには大型マグネットを採用。高域特性を改善するため、ジュラルミン製センターキャップを持ったメカニカル2ウェイ方式。パイオニアらしく凝ったユニットです。
本格的6バンド・グラフィックイコライザー
高性能なスピーカー部の性能を十分に発揮させるため、きめ細かな音質調整が可能な6バンドのグラフィックイコライザーを搭載しています。
周波数を100Hz~10KHzまで6つの帯域に分割し、それぞれ±12dBの範囲で自在に設定することが出来ます。置き場所を選ばないラジカセだからこそ、スペースに合わせて最適な音域バランスを得ることが出来るグライコの搭載は大きなメリットです。

快適なフェザータッチ・オペレーション
コンポデッキでは当たり前の装備になったフェザータッチ式コントロール。その快適な操作感は高級ラジカセなら欠かせない機能です。
キャプスタンとリールをそれぞれ独立したモーターで駆動する安定の2モーターメカを、ICによりフルロジックコントロール。
頭出し機能もロジック式のワンタッチ・スキップサーチへと進化しています。

録音ボリュームは上部シーリングパネル内に
フロントパネルは、多機能でありながらスッキリとしたデザインを実現するため、操作頻度が比較的低い録音ボリュームなどを本体上部にあるシーリングパネル内部に格納。

テープセレクターはノーマル/クロームが自動切換えで、他にメタルポジションが付いています。テープのヒスノイズを抑えるドルビーNRシステムも装備。

データ
- 発売:1981年(昭和56年)
- 定価:107,000円
- サイズ:W655 x H235 x D160(mm)
- 重量:10.9kg(電池含む)
カタログより


管理人のつぶやき
巨大サイズのラジカセは、シャープのGFシリーズに代表されるようにデザインとしても大味のものが多いのですが、SK-900はとても洗練されていて素晴らしいです。
メタルメッシュ越しに見えるホワイトコーンのスピーカーがデザイン面でのハイライトですね。シルバーで直線的なキャビネットがソリッドな質感を醸し出しています。LEDの使い方は抑制が効いていますし、メーターがあえてアナログ式なのも大正解です。
観て・触って・聴いて楽しい、3拍子揃ったパイオニアならではの名機といえましょう。


