ナショナル Mac for BCL – BCLブームを狙った欲張りラジカセ

70年台半ばにブームになったBCL(海外短波放送の受信)に対応したラジカセです。発売は1975年、定価は49,800円でした。単体のBCLラジオとカセットテープレコーダーを別々に買うよりお得で、かつ場所をとらない、ということからなかなかうまいアイデアであったと思います。

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Mac for BCLはこんなラジカセ

ラジカセらしい展開

ラジカセとはそもそもラジオとカセットテープレコーダーを合体させた、典型的な複合商品です。複合させることで利便性があがり、さらにお得感も出せるというところが複合商品のミソなわけですが、ラジオを録音したいというニーズに応えてごく自然に成立した形態がラジカセであったと言えましょう。

その後のラジカセは様々なニーズを取り込んで多様な展開をすることになります。

  • 屋外での録音に対応した「生録ラジカセ」
  • 語学学習用に後追い録音機能を付加した「LLラジカセ」
  • 手軽に楽曲制作ができたりカラオケが楽しめる「ミキシング機能付きラジカセ」
  • ラジオだけじゃなくテレビも楽しめる「ラテカセ」
  • ステレオシステムとして発展させることができる「システムアップラジカセ」
  • CDの録音再生ができる「CDラジカセ」

ほかにもあるかもしれませんが、ざっと思いついたものを列挙してもこんなにバリエーションがあります。「BCLラジカセ」もそうした展開のひとつに挙げられるでしょう。

BCLファンにはカセット付きのメリット大

BCLの楽しみのひとつに、放送局に受信報告書を提出したお礼として返送されてくる「ベリカード(受信証明書)」のコレクションがありました。

ベリカードとは絵葉書のようなもので、放送局独自のイラストや写真などが掲載されていて、異国情緒を味わうことができました。受信報告書を作るには、どんな番組をいつ、どんな受信状態で聴取したのかを書く必要があったため、ラジカセの録音機能がとても役立った訳です。

クーガ115と同等の機能を搭載

ナショナルのラジオ、クーガシリーズの特徴といえばジャイロアンテナ。これは通常はラジオの内部に格納されているフェライトバーアンテナを本体の外に切り出したもので、回転させて感度が最大になるよう向きをかえるとができる便利な機能です。

もっとも、ジャイロアンテナが受信できるのはAM(中波)とSW(短波)のうちの低周波数帯だったので、短波メインのBCLとしてはあまりメリットはなかったです。

あと、この機種のジャイロアンテナにはマイクがビルトインされています。音源にあわせてマイクの方向を変えることができるので便利ですね。

短波の全周波数(1.6MHz~30MHz)を4分割してフルカバー。精密なチューニングを可能にするファイン・チューニングも付属しています。また、アマチュア無線傍受などに必要なBFOも装備。これらの機能はナショナルのBCLラジオの名機、クーガ115と同等のものです。

ただ、クーガ115はアルミ製の美しいシルバーパネルがオシャレなラジオでしたが、本機は地味なデザイン。さらに価格差が2万円以上もあるとなるとカセット付きとはいえ悩ましいですね。

正面から見るとほぼ正方形という珍しい形。高さに対して奥行きが短いので倒れやすいかもしれません。

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データ

  • モデル名:RQ-585
  • 発売:1975年(昭和50年)
  • 定価:49,800円
  • サイズ:W 342mm x H 302mm x D 132
  • 重量:3.6kg(電池含まず)

管理人のつぶやき

他メーカーからも同じような製品が出ていました。ソニーからはスカイセンサー5900にラジカセをドッキングさせたスカイセンサー5950が登場。ビクターからもBCL機能を強化したラジカセが発売されましたね。

実際のところ売れ行きはどうだったのでしょうか?

BCLラジオ単体よりはサイズが大きく価格も高額。音楽を楽しむラジカセとしてはサウンド面が貧弱です。複合商品というのは一見便利ながら、結局は中途半端になりがちなもの。BCLラジカセが当時のユーザーにどれほど受け入れられたのかちょっと気になります。

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