ソニー スカイセンサー5950 – BCLラジカセの真打登場

昭和時代の複合家電の王様・ラジカセが、1970年代後半にブームとなったBCLを取り込んで「BCLラジカセ」を生み出しました。ソニーからはアナログBCLラジオの名機・スカイセンサー5900にカセットを合体させたモデルが登場。その名も『スカイセンサー5950』でした。

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スカイセンサー5950とは

BCLブームにのったラジカセ

海外短波放送を聴取する趣味、いわゆるBCLが本格的なブームになったのは1973年にソニーが『スカイセンサー5800』を発売してからと思われます。それ以前にも短波放送が受信できるラジオは存在していましたし、BCLという呼称は別として海外短波放送マニアはいたのです。

それがソニーがスカイセンサー5800の発売とともに、大々的にBCLをピーアールしたことでブームに火が付きました。家電メーカー各社はこぞってBCL向けラジオを市場投入。アンテナやプリセレクター、マーカーなど様々な周辺製品が発売されたり専門情報誌も登場するなど、経済効果は相当大きかったものと思われます。

いっぽう、1960年代後半に登場した日本が世界に誇る複合家電「ラジカセ」も、その手軽さやメーカーが提案する様々な用途に消費者が飛びつき、一家に一台、いやひとり一台と言えるほど普及していくこととなります。

そんなラジカセがBCLブームを見過ごすはずはなく、「BCLラジカセ」が誕生します。ただ、参入したメーカーはそれほど多くはありませんでした。

真打登場

上記にあげたBCLラジカセは、BCLラジオ部分はまだ周波数直読機能が登場する前のもの。私の分類では第1世代です。ソニーのスカイセンサー5900にはじまる周波数直読機能搭載の第2世代と比べると、もはや「古臭い」製品になってしまっていました。

そこに真打として登場したのが『スカイセンサー5950』だったのです。いわば第2世代のBCLラジカセです。

スカイセンサー5950
BCLラジカセの真打登場

母体はスカイセンサー5900

モデル名からも明らかなように、BCLラジオ部分はスカイセンサー5900です。

当然ながら周波数直読機能をフィーチャー。250KHzごとに現れるクリスタルマーカーの発振音をたよりにメインダイヤルを目指す放送局の周波数近辺にセットしたら、あとはスプレッドダイヤルでピタリと周波数を合わせることができます。

スカイセンサー5950
スカイセンサー5900の機能はそっくり踏襲

スカイセンサー5900に搭載されている機能はすべて装備。アマチュア無線などの傍受に必要なBFOも付いています。もちろん受信回路は高性能な「ダブルスーパーヘテロダイン方式」。

スカイセンサー5950
さりげなく「BCL」のレタリングが

カセット部もBCL向けに工夫

一見するとごく普通のモノラルカセットデッキです。

しかしBCL向けにひと工夫がなされています。

ひとつは「ワンタッチ録音」。一般的なラジカセでは、録音するためには録音ボタンと再生ボタンを同時に押す必要がありました。おそらく誤って録音してしまうことを避けるメリットを考えたためだと思いますが、とっさの録音には不向きです。BCLでは例えば珍しい放送局が受信できた時などに素早く録音できることは大きなメリットなので、ワンタッチ式が採用されました。

スカイセンサー5950カセット部
使いやすい正立式のカセットホルダー

もうひとつは「クレジットイン機能」。録音中にクレジットインボタンを押すと、内臓マイクで自分の声を一緒に録音することができるというもの。これは、録音中の放送局や番組にメモ書きを付けるようなもので、例えば受信した年月日や受信状態などを記録することができます。のちのち受信報告書を書いたり、テープをライブラリー化するときに役だちます。

ギミックが嬉しい

ちょっとしたギミックも本機の魅力です。

デザイン的なアクセントになっている左右のガードバー。ここにプラスチック製のクリップが付いています。写真のように腕時計を留めれば時間をチェックするのに便利。

フック
フックには腕時計を

あと、クレジットインボタンの上にある銀色のライトボタンにひと工夫あります。スカイセンサー5900にもライトボタンはついていますが、ライトを点灯させるにはボタンを押したままにする必要があります。なので長く点灯させようとすると指が疲れてしまうのです。本機ではボタンを回転させるとロック状態にすることができるので長時間の点灯が簡単にできます。痒い所に手が届く気配りと言えましょう。

堂々としたサイズ

見るからに堂々とした体躯。サイズ的にはスカイセンサーの上位に位置した「ワールドゾーン」シリーズの受信機に肉薄しています。果してこんなに大型にする意味があったのかとも思いますが、いかにもBCLをやっている感を演出する効果があったのかもしれません。いわゆる「シャック」のイメージを狙ったのでしょうか。

スカイセンサー5950
机の上を占拠しそうな巨体

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データ

  • モデル名:CF-5950
  • 発売:1976年(昭和51年)
  • 定価:56,800円
  • サイズ:W432 x H305 x D148(mm)
  • 重量:5.6kg(電池含む)

カタログより

スカイセンサー5950単品カタログ
スカイセンサー5950単品カタログ
カタログ中面1
「Master of BCL」を名乗る大物
カタログ中面2
説明書並みに詳しい機能解説
カタログ中面3
定番のBCLの楽しみ訴求コーナー

管理人のつぶやき

他社のBCLラジカセが第1世代だったのを尻目に第2世代として登場した本機は、BCLラジカセとしてとても良くできた製品だと思います。

惜しむらくはタイマー内蔵ではなかったこと。周波数直読機であれば、番組開始の前にあらかじめ周波数をセットしておく「待ち受け受信」が可能なわけで、タイマーを使った「待ち受け録音」が出来たら魅力倍増だと思うのですが。外部タイマーを接続すれば可能ではありますが、やはり内蔵させてほしかったです。

ところで、なぜナショナルがクーガ2200のラジカセ版を出さなかったのでしょう。これはクーガ115ベースのBCLラジカセだったMac for BCLがあまり売れなかったせいではないかと想像します。やはり価格がひとつのネックになりますよね。

その意味ではスカイセンサー5950ももしかしたらそれほど売れなかったかもしれません。なにしろ価格がスカイセンサー5900の約2倍なのですから。

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