ボズ・スキャッグス – 洗練とソウルが交差する大人のサウンド

言わずと知れたAORの大御所。ブルースを原点としながら、ソウルやロックさらにジャズまでジャンルを超えた豊かな音楽性と温かく透き通ったハイトーン・ボイスで、時代や年齢を問わず人々を魅了し続けたレジェンドです。

ボズ・スキャッグス/Boz Scaggsとは

ボズ・スキャッグスのベストアルバムHIts
1970年代のヒット曲が満載のベストアルバム『Hits!』

テキサスから始まった音楽人生

1944年、アメリカ・オハイオ州で生まれたボズ・スキャッグスは、青年期をテキサス州ダラスで過ごします。ここで出会ったのが、のちに共に音楽活動を行うスティーヴ・ミラー。二人は大学時代に再会し、ブルースに夢中になりながらバンドを組み、音楽の道を本格的に歩み始めました。

1960年代後半にはスティーヴ・ミラー・バンドに参加し、ギタリストおよびヴォーカリストとして注目を集めます。しかし、彼が真に自分の世界を築き始めたのは、1968年に発表したセルフタイトルのアルバム『Boz Scaggs』からでした。この作品では、アラバマ州マッスル・ショールズで録音された本格的なサザン・ソウルとブルースが展開され、彼の音楽的ルーツと探究心を感じさせます。

名盤『Silk Degrees』で大ブレイク

1976年、キャリアの転機となるアルバム『Silk Degrees(シルク・ディグリーズ)』がリリースされます。このアルバムはアメリカで大ヒットし、全米チャートで2位を記録。500万枚以上を売り上げる大成功を収めました。

この作品の魅力は、ポップ、ソウル、ファンク、ブルースが絶妙にブレンドされたサウンドにあります。中でも、「Lowdown」は、都会的なファンキーさと切ないメロディが融合した名曲で、グラミー賞「ベストR&Bソング」を受賞しました。洗練された演奏とプロダクションは、AOR(アルバム・オリエンテッド・ロック)の代表的なサウンドとしても評価されています。

『Lowdown』

また、「Lido Shuffle」は、軽快なリズムとノリの良さが印象的なロック・ナンバーで、今もドライブソングとして人気です。そして「We’re All Alone」は、やさしく包み込むようなバラードで、多くのアーティストにカバーされました。中でもリタ・クーリッジのバージョンは世界的にヒットし、楽曲自体の普遍的な美しさを物語っています。

『Lido Shuffle』
『We’re All Alone』

変化を恐れない成熟したアーティスト

80年代以降のボズ・スキャッグスは、ポップスの第一線からはやや距離を置きながらも、質の高い音楽を作り続けています。ブルースやジャズへの傾倒が強まり、特に1997年の『Come On Home』では、サザン・ソウルやブルースの名曲をカバーしながら、渋みを増した歌声で新たな魅力を発揮しました。

『Come on Home』

2003年の『But Beautiful』や2008年の『Speak Low』では、ジャズ・スタンダードに挑戦。アコースティックなアレンジを背景に、落ち着いたトーンで歌い上げる彼の姿からは、若い頃とはまた違った表現力の深さが感じられます。

『But Beautiful』

こうしたアルバムに共通するのは、派手さではなく、音楽そのものの美しさや、歌の持つ感情を丁寧に届けようとする姿勢です。ボズ・スキャッグスは年齢を重ねても「大人の音楽」を体現し続けているアーティストといえるでしょう。

現代でも変わらない存在感

近年のライブ活動でも、ボズ・スキャッグスは変わらぬ声と演奏力を披露しています。ステージ上での彼は決して饒舌ではありませんが、音楽を通じてしっかりとメッセージを伝えるタイプのアーティストです。その控えめな姿勢が、逆に説得力を持って観客に響いてきます。

また、彼の音楽は今も多くのテレビ番組や映画、CMなどで使われており、若い世代にもじわじわと浸透しています。流行を追わず、自分のペースで音楽と向き合ってきたその姿勢が、かえって現代のリスナーにも新鮮に映るのかもしれません。

管理人のつぶやき

ボズ・スキャッグスの出世作『Silk Degrees』の大成功を陰で支えたのが、のちにロックバンドTOTOを結成することになる腕利きのスタジオミュージシャンたちであったことも有名なエピソードですね。そのメンバーとは、キーボードのデイビッド・ペイチ、ドラムスのジェフ・ポーカロ、そしてベースのデイビッド・ハンゲイトの3名でした。

『Silk Degrees』はAORの歴史的名盤といえますが、そのサウンド造りに元TOTOのメンバーが大きく関与していたであろうことは、TOTOの初期の楽曲を聴くと大いに頷けるものがあります。

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