ホーマー IC-5000 – 科学する少年の心をクスぐるミニチュアラジオ

IC(集積回路)を使った超小型ラジオです。実用品というよりは科学玩具の一種で、電器店ではなくおもちゃ屋や模型ショップで扱われていました。

ホーマー IC-5000とは

ホーマー IC-5000
ホーマー IC-5000

ホーマーというブランド

ホーマーとは、かつて存在した有限会社 共和製作所の製品に使われていたブランド名です。同社製の製品に同梱されているチラシに電話番号が記載されており、市外局番が「0492」であることから、共和製作所の所在地は埼玉県の某所(川越市、坂戸市、鶴ヶ島市、富士見市、ふじみ野市、入間郡、比企郡のどこか)であったようです。

ICラジオのほか、トランジスタラジオのキットやワイヤレスマイク、インターホンなどを製造販売していたらしいですが、有限会社とあるように小規模の会社だったと思われます。

おもちゃ屋の一角にはラジオキットやトランシーバーなど、いわゆる科学玩具のコーナーがよく見られましたが、かなりの確率でホーマーの製品が置かれていましたから、一般の家電製品とは販路が全く違っていたのでしょう。

時代はトランジスタへ

昭和40年代にはすでに真空管ラジオは過去のものとなり、トランジスタ式に置き換わっていきました。トランジスタは消費電力が少ないので乾電池で動作し、また製品を小型にできることから持ち運びできるポータブルラジオがメーカー各社から発売されました。これは画期的なことで、真空管時代のラジオは据え置きタイプしかありませんでした。

ホーマーのラジオキットにも、トランジスタを1個だけ(1石と呼びます)とか2個(2石)使った手のひらサイズのものから6石スーパーヘテロダイン方式の本格的なラジオまで豊富なバリエーションがありました。

さらに先を行ったICラジオ

そんななか、すい星のごとく登場したのがホーマーのICラジオシリーズ。IC-5000のほかにも数機種存在していたようですが、とにかく驚くべき小ささ。これならポケットにも楽勝で入ります。キーホルダー付きなのもマスコットのようで小ささを引き立てます。

単4乾電池とほぼ同じ高さ
単4乾電池とほぼ同じ高さ

このサイズを実現できたのは、トランジスタの先を行くデバイスであるICを採用したため。ICは集積回路といって、複数の半導体などの電子部品を一体化したもの。大手メーカーでも採用されるようになっていきますが、ホーマーのような小規模メーカーが少年にも手の届く価格の製品に採用したことは驚きです。もっともICといっても集積度としては小規模で、推測ですがトランジスタ1石か2石程度ではないかと思われます。

真ん中の黒い部品がIC
真ん中の黒い部品がIC

あまり実用的ではなかった

電源スイッチはなく、イヤホンをジャックに差し込むことでパワーオンになります。イヤホンは低電圧でも動作する専用品が付属しています。一般的な市販のイヤホンは使えません。

専用イヤホンをジャックに差し込むとスイッチが入る
専用イヤホンをジャックに差し込むとスイッチが入る

このラジオにはなんとボリュームがついていません。いったい音量をどうやって調節するのでしょうか?

もちろん説明書にちゃんと書いてありました。

音量が大きすぎる時、又は小さすぎる時はラジオの向きを変えて音量の適当な所で聞きます。(それでも音量が大きすぎて聞きずらい時はイヤホーンの耳センに綿をつめる)

電波の入りをわざと悪くして音量を下げる、という原始的な方法です。ちなみに内蔵アンテナは縦方向に配置されていますから、音量調整するにはラジオを横倒しした状態で向きを変える必要がありそうです。

この開き直り方というか割り切りというか。なんとも微笑ましいです。大手メーカーにはとてもマネできませんね。

味わい深い取り扱い説明書
味わい深い取り扱い説明書
科学する少年のココロに刺さったICラジオ
科学する少年のココロに刺さったICラジオ

管理人のつぶやき

おもちゃ屋の科学玩具コーナー以外だと、少年漫画雑誌に載っていたおもしろ商品の通販広告とか、『王様のアイデア』のようなアイデア商品専門店でも扱っていたように記憶しています。

ICラジオ以外にも気になるアイテムが色々ありました。磁力線が脳に働きかける『ミラクルミー』とか、謎の生物を育てるキットの『シーモンキー』とか、超小型の『スパイカメラ』とか。当時は買うお金もなくただ広告を眺めるだけでしたが、想像力と物欲が刺激されてワクワクしました。今ならつい大人買いしてしまいそうで逆に怖いですが。

タイトルとURLをコピーしました