ミキシング機能を搭載して新しいラジカセの楽しみ方を提案し、大ヒットしたスタジオ1980の2代目モデルです。機能や基本構成は初代を踏襲するものの、デザイン面では大きく進化。究極のモノラルラジカセと言わしめるほどの完成度です。
目次
CF-1980Ⅱ(スタジオ1980マークⅡ)とは
大ヒットしたスタジオ1980の後継機
ミキシング機能によって、複数の音源を組み合わせて自分オリジナルの音創りができる、という楽しみ方を提案した大ヒットモデルの『スタジオ1980』。
先代が偉大だと後継者は特徴を出すのに苦労するものですが、この2代目は見事にそのハードルをクリアして見せました。
機能と性能は正常進化
最大の特徴であるミキシング機能はそのまま踏襲。
クロームテープが使える2ポジションのテープセレクターや、小音音量再生時に低音と高音のレベルを補うラウドネススイッチも初代と同じです。
スピーカーは16cmウーハーに5cmツイーターの2ウェイ。これも先代と一緒ですが、アンプの出力が3Wから3.2Wに強化されました。
ラジオは初代の2バンドから3バンドに拡大。折からのBCLブームに応えるため、短波放送が受信できるようになっています。
見違えるようなデザインの進化
このように、機能や性能を見る限り正常進化の範囲内といった感じで取り立てて騒ぐほどのものはありません。
では何が2代目を「究極のモノラルラジカセ」とまで言わしめたのか。それはデザインです。
シルバーの使い方が実に上手い。
初代では黒だった本体上部をシルバーのアルミパネルに換装しました。ミキシングボリュームもシルバーに。オーディオコンポを思わせる高級感の演出に成功しています。
そしてスピーカー周囲にもシルバーの化粧リングを巡らせることでフロントマスクの印象がガラリと変わりました。スピーカーグリルが先代の小穴のあいたプラスチックからメタルメッシュに変わったことも効いています。
素が良いから化粧が映える
基本レイアウトは一切変えずに、配色と一部素材の変更のみでこれほど印象が変わるとは驚きです。
これはあたかも、もともと目鼻だちのよい女性が上手に化粧をしたことで絶世の美女になったかのようです。いわば初代はスッピンの美少女、2代目は成長して化粧したら大変身、といったところでしょうか。
化粧は難しい…
マークⅡの後継機として『スタジオ1980マーク5』が1977年に登場しました。
マークⅡとの違いは、見た目ではラジオのスケールがブラックになったこと。あと、スピーカー右下にモデルネームを表すバッジが付いたことぐらいです。性能的には出力が5Wへと大幅アップしました。
このデザイン変更は成功したとは言い難く、残念ながらマークⅡのほうが魅力的です。
ちょっとお化粧に失敗してしまったかのようです。化粧の難しさを感じますね。
データ
- モデル名:CF-1980Ⅱ
- 発売:1976年(昭和51年)
- 定価:43,800円
- サイズ:W376 x H246 x D108(mm)
- 重量:5.0kg(電池含む)
カタログより
管理人のつぶやき
本文では「化粧に失敗」と言ってしまいましたが、実は当時、初めてラジカセを購入しようとした時にスタジオ1980マーク5は選択肢のひとつでした。
ソニーの思惑どおり「大出力5ワット」が気になったことと、「黒いダイヤルスケール」にも魅力を感じたんですよね。まだ美的感覚が未成熟であったのだなぁ、と今にして思います。
悩んだ末に購入したのはソニーの『ゴング55(CF-6300)』というステレオラジカセでした。ステレオラジカセではおなじソニーの『ジルバップ(CF-6500)』が憧れの対象だったのですが、値段が高くて手が出ませんでした。ゴング55はスタジオ1980マーク5と同じ4万円台ということでゴングにしたのですが、スピーカーが12cmフルレンジのせいもあってか音がイマイチでした。
もっともゴング55のコンセプトはシステムアップといって、レコードプレーヤーや外部スピーカーをつないでシステムコンポ的に発展させるというものでしたから、スピーカーは貧弱でも構わなかったとも言えます。